十二月四日(木)

mayo_fujita
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公開:2025/12/4

 再び突然の思い付き。海外文学100冊マラソンを始める。Xでよく見かける企画だ。ミステリーを含めれば海外文学は千冊近く読んだので今更なあと思っていたのだが、読書日記を始めたのでいいい機会だ。ついでに、独自企画として純文100冊マラソンも始める。文フリで買う本以外では読む本はほぼこの二つのどちらかに属するはずだ。

 文フリで購入したホシガラスさんの『夜の神社で』を読み終えた。ファンタジックな話と人々の何気ない日常の話がうまく混ざっている。ホシガラスさんの作品では登場人物は時に悲しく辛い経験をする。そうしたことを書きながらも小説は暗く湿っぽい雰囲気にはならず、日々の生活を大切に思いながら生きる人々の姿に励まされる。生活感がある文章だ。家族や郷里を大切に思う気持ちがとても自然に書かれている。ご本人も地に足がついた生活を送っていらっしゃるのだろうと感じる。私とは大違い……。といっても、小説を書く人は私のように内側にこもりがちで大地のにおいとかけ離れた生活を送りがちだと思う。ホシガラスさんのように良識を持ちつつ創作をなさる人は貴重な存在だ。つくづく自分たちのアンソロジーにお誘いして良かったと思う。創作面ではたいした貢献もできないが、参加メンバーのチョイスにかけては誇れるアンソロジーだと思う。

 続いて『汀の研究室』を読み始めた。「はじめに」の説明によると、「文学的あるいは個人的な実験として小説を執筆し……実験内容を同人誌にまとめて報告する」といった企画に基づく本らしい。Xでメンバーを募集なさった時もTLで見ており、もともと実験的・前衛的作品を書かれることの多い水飼心さんが実験を謳うなんてどんな本になるのだろうと楽しみにしていた。

 まずは水飼さんの「グリーンガールズ」。格助詞を「が」と「の」のどちらにするか、また「の」にした場合文章中の「の」が三連続することがある…といったことを実証した作品だった。

 「が」と「の」どちらにするかは自分でも推敲の時にやたらとこだわってしまうので興味深かった。最初「の」を使い推敲で「が」に変えるケースが多いと思うが反対もあるし、再度変えたりもする。

 文字の連続はあまり好きではないので(平仮名が続く場合。漢字の中に隠れてしまえば気にならない)見つけたら別の単語で言い換える。文章のリズムや見てくれを気にする性格なので、類語辞典が手放せない。が、この実験ではメンバーの方々はあまり気にしていないようだ。

 少し前に夏しい子さんが「本を読む時には頭の中で声が聞こえます」と書かれていた。私も同じで特に気に入った小説や自分の小説を読む時は声色が変わったりもする。の、の三連続などを気にしてしまうのはそのせいかもしれない。文章が音声になる人と文章そのままである人では捉え方が違いそうだ。

@mayo_fujita
読書日記を書いています。小説メインで色々読みます。古い小説と海外文学、ZINEや同人誌など。