文フリ本を引き続き読む。『Scrap&Build』収録ジューブンさんの「パクリじゃん」。文学フリマでお目にかかったので作者が男性だと知っている(アイコンも男性だが、私を含め別の性別のアイコン
を使う人は少なくないだろう)。男性が書く女性視点の小説にももちろんいいものはあるが、女らしい部分ではなく男女あまり関係ない部分を書いているケースが多いのではないだろうか(ただの仮説。検証したわけではない)。だが、ジューブンさんのこの小説には若く純粋で繊細な娘特有の感覚が描かれている気がした。若く純粋で繊細な男性ではこうはならない。読み始めるとすぐ優しくゆるやかな時間に包まれた。情景描写が美しく、そんな風に世界を見ている主人公に親しみを覚えて話に引き込まれる。だから後半での彼女の悔いや悲しみが他人事とは思えず涙ぐみそうになった。主人公の感情が完全な創作ならお見事ですと言うしかないが、作者にも似たような心の動きがあるなら生きるのがちょっと大変なんじゃないかと余計な心配をしてしまった。
『Scrap&Build』収録の小説を三篇読んでどれもとても良かった。正直、私たちのアンソロジーよりいい。他の小説も読みたいがまずは何らかの縁のある人の小説から読む予定なので先を急ぐ。