自分は昔、いわゆる"非嫡出子"だった。
つまり、わたしを授かったときに母は父と婚姻関係になかったということである。
その事実は割と人生の早い段階で知らされることになった。父と喧嘩している時の母がその話題で父を攻撃していたし、物心つくようになったわたしが「どうしてパパとママは結婚したの?」なんて可愛らしいことを質問したりしたからだ。
そのため、思春期にはどこか両親を蔑む気持ちがあったような気がする。パパってだらしないんだなと思っていたし、わたしならそんな人を選んだりしないのにと母を疑問視していた時期もあった。
今はただ、自分の存在を認めてくれてありがとうという気持ちしかない。両親はいくらでも逃げ出せたのに、わたしという命に対して責任を果たそうとしてくれたのだ。そのことに気づけなかった自分は愚かで未熟だったと思う。
𓈒𓏸
巷で離婚や不倫の話題になると、少しだけ肩身の狭い思いをすることがある。それらを否定することは自分の出生が揺らぐことでもあるからだ。
もちろん、正しい手順で生まれたかったという気持ちがないわけではない。でも両親はわたしを一生懸命育ててくれたし、精一杯の愛情をかけてくれたのだと思っている。子育てに関することは結局のところ結果論であって、命を授かる順番や手法に優劣は無いのだと思いたい。
あの人にも、いつかそのことがきっと届くといいと思う。