娘が小学校に入学して以来、冬休みはちょっと恐怖だったりする。
「書き初め」の宿題があるからだ。
娘がどうやら完璧主義者らしいことは、小1の1学期に知った。毎日のひらがな練習の宿題で「こんなんじゃ見本どおりの字じゃない!」と泣きながら、書いては消してを繰り返す。一向に宿題が終わらない。下手すると疲れて寝てしまい、朝に続きをやる始末。親である私が「もっと上手に書きなさい」とプレッシャーをかけているわけではない(…と思う)。「よく書けているよ!頑張ったね」と声掛けをしたところで、本人が納得しないのだ。
こんな調子だから、書き初めのときには上手く書けないからと授業中も悔し涙を流していたようだ。家ではさらに大騒ぎの大暴れ。付き合うのも本当に一苦労だ。
ただその甲斐あってか、担任の先生には「クラスで一番、丁寧で上手な字が書けます」とお褒めいただいた。小2の硬筆書き初めでは代表に選ばれて、娘の作品は展覧会に出品された。「私はちゃんと上手に書けるんだ」と本人も自信をつけたようだった。
しかし、今年はさらなる難関がやってきた。小3からは毛筆書き初めが始まったのだ。
冬休み最終日である今日、ようやく書き初めに着手。最初の一画を書いただけで「もうダメだーーっっ」って諦めて破いてしまう。涙ポロポロ。予備で個人的に20枚買った半紙もどんどん無くなっていく。これじゃいつまで経っても終わらない…。
そこで私は娘に言った。「まずは1枚完成させることを目標にしよう!どんなに下手でも最後まで書けば1点にはなる。でも完璧を目指して途中でやめていたら、何枚使おうと0点のままだよ」と。
分かるよその気持ち。私も完璧な仕事にしようと最初から時間をかけすぎてしまったことがあったから。「まずは短期間で一気に60%の出来で完成させてしまう。そして残りの時間でじっくりと100%を目指そう」というような言葉を、なにかのビジネス書で見たことがある。油断するとつい最初から完璧を目指そうと意気込んでしまうことがある。だからしつこく自分にこの言葉を言い聞かせている。まず一旦完成してしまえば、心にゆとりが生まれる。クオリティを高めるには、このゆとりがどうしても必要だ。
まずは1枚最後まで書き終えた娘はようやく落ち着きを取り戻し、その後は調子よく追加で2枚も作品を仕上げた。あきらかに後の2枚は、のびのびとした良い字だった。
本当にこの騒動に付き合うのが大変だ…。でも、自分の完璧主義との上手な付き合い方を娘が学んだのであれば、これしきの苦労はすぐにも報われるであろう。そうであると思い込みたい。