いつも日曜日の午前中は静かに過ごしている。
教会の鐘の音が遠くで鳴り響いていて、周りの部屋も静かに日曜日の朝を迎えている。お店が全て閉まっているし、お気に入りの美術館も今は改装工事で閉館。
必然的に自分の家で過ごすことになる。
こもった部屋の空気を朝の空気と入れ替えた時に、どこかの家から香ばしい香りが漂ってきた。
ケーキかな、マフィンかな、スコーンかな。日曜日の気持ち良い空を眺めながらオーブンを使っているのかな。
土曜日に食材を買い込んでいるから、日曜日の朝は一番冷蔵庫の中身が豊富。
目覚めのお水を飲みながら、目線の先にはバターと卵、小麦粉。
よし、クッキーを焼いてみよう。
お菓子作りはあまり得意ではないけれど、飛び込んできた香ばしい香りを自分の部屋に漂わせてみたかった。
昨日買ったばかりのバターに卵、小麦粉を混ぜて、チョコチップとシナモンパウダーを練り込む。オーブンに入れたら、あとは焼き上がりを待つだけ。
オーブンの前にしゃがみ込んで、クッキーが少し膨らみきつね色になっていくのを眺める。
だんだん部屋が香ばしい香りに包まれていく。わくわく、わくわく。
焼き上がったクッキーをお皿に並べて、お気に入りの紅茶をお気に入りのマグカップに淹れたら、優雅な日曜日のカフェタイムが完成。
春めく日差しを浴びながら、サクサクのクッキーをかじる、静かで満たされた自分時間。