本格的に一次創作に復帰し始めて1年ほどが経過した。misskey.designに来てからは半年くらいか? 転職やらなんやらでドタバタして近頃あまり集中して創作に取り組めていない気がするがそれはそれ。特別、何かしらの賞を目指していたり、それで生活のための稼ぎを得ていない人間からすると、創作活動とは終わりも始まりも無い、自己満足の究極だろう。異論は認める。
もう十年以上昔になってしまうが、かつて、ものすごく好きだった創作家さんがいる。創作をしていると、その人のことを何かにつけて思い出す。
「かつて」というのは、私が知りうる限り、その方の作品が見られる場所がなくなってしまったからだ。
その方は個人サイトで小説を書いていた方である。イラストも時々描かれていたかな。私は創作屋としての成長過程において、その方の作品の影響を強く受けていると思う。私が創作を始め、今日まで細々と続けているのは、その方の存在があったからなのだ。
当時の私の目からすると、その方の作品は衝撃的だった。とても独特で、優しくて、陰惨で、美しかった。回りくどい修飾表現や言い回しの少ない、素直で簡潔な文章だったように思う。難しい言葉や表現はあまりなく、ただただまっすぐに、そこにいるキャラクターの心を描いていた。私はその方の描くキャラクターたちが大好きであった。
その作品に出会って何年かの後、ウェブサイトの引っ越しやらなんやらも間に挟んでいただろうか。経緯は忘れたがたまたま某SNSではないSNSサービスでその方を見つける機会があり、熱心なファンであった私はDMかなんかを送ったような気がする。あわやネトストみてーな行動だが、その方は寛大にも返事をしてくれ、あまつさえフォローなどもしてくれて、作品のファンであることを喜んでくれた。それでなんやかんやとそのSNS上で少しだけ接点を持つことになり、そして一度だけ、年賀状を交換した。
まだその頃は今ほどいろんなサービスが無かったので、マジでDMで住所を交換しての送り合いである。実に何年振りかに手書きの年賀状を作った。私はその方の小説に出てくる推しカプ(当世風の言葉)のほのぼのした感じのイラストを頑張って描いた。マジでそのふたりは今でも殿堂入りするレベルで心に残っている。
その方から届いた年賀状にはなんと同じ作品に出てくるキャラクターの消しゴムハンコが押されており、なんて器用……!と震えた覚えがある。そしてありがたくも、もっとお話ししたいですという旨の温かいお言葉まで頂いた。これらは人生の中でかなりトップクラスに嬉しかった出来事のひとつである。
しかしながら、この交流は長くは続かなかった。その方のアカウントはある日そっと消えてしまっていたのだ。あるいは私から見えなくなっただけだったのかもしれないが、とにかくそれきり、その方とは話していない。年賀状を交換したので住所は知っていたけれど、万が一、億が一にも、私を含むインターネットに嫌気がさして去った可能性が排除できない以上、手紙を送ったりすることはできなかった。
あの方はいま、どうしているだろう? 私の知らないどこかで、まだ作品をかいているだろうか。それとも、もうやめてしまっているだろうか。
それを知る術は、私にはもうない。ただ、創作を日々続ける中で、その方を思い出すたびに、どうか幸せでいてほしいなと、祈るように思い続けている。