ずっと開けられなかったビンの蓋が或るとき突然開くような、再会とはそういうものだと思う。連絡をとることさえ躊躇ってしまう大切な人々と、もう一生会えないと勝手に絶望していたことが嘘みたいにほどけて、思わず涙が溢れてしまった。今まで開けられなかったのは、確かそのビンに大切な気持ちを詰めてふとしたときに溢れないようきつく閉めてしまったから。だけれど、蓋が開いたときに溢れたのは、中身ではなく自分の涙だったのは予想外だった。時間が空いても自分のことをちゃんと憶えておいてくれる人々の存在に再び出会ったら何を話そう。そんな答え合わせみたいな瞬間に当たったら、水分を含んだスポンジを絞るように心の底から温かくて甘い泡(あぶく)が不思議に湧いてくるのだ。棚から取り出したビンから望んだ以上の気持ちが取り出せることを、もっとちゃんと大切にしたい。