2024/3/31

meme_letter
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大阪に帰る妹を見送りに東京駅に行くと、そこにはスーツケースを携えた人たちでいっぱいで今日は年度末なのだと気づいて、慌てふためく。

まだ何も決められていないのに、また新しい年度が始まってしまう。明日から私は社会人5年目、それは大学生より長い時間を仕事に費やしていることになる。どうしようと決められない頭の動きは鈍く、帰宅して掃除、洗濯をしてから、取引先のイベントに向かい、そこで急遽昇進の方へのお祝いにと、花束を探し求めて新宿駅を彷徨う。イベントでもらったドリンクチケットで飲んだビールは苦くて悪酔いしてまた帰宅する。ベットに倒れ込んでしばしの休憩、後にお風呂で最低限の身支度を行い、友人との食事に向かう。

大学1年生からの付き合いである同期の友人はこの春から職転で記者として地方に赴任になるのだ。

完璧主義で自分に厳しいところがある友人は、会社に入ったこの数年で他人に対して寛容で柔らかな言葉をかけられる素敵なひとになっていた。ひとが変わるほどの時間が流れているのに私は未だ大学を手放せずにいる。会社に入ってから、私は作業や考え方のいくつかの形式を身につけていて、それは私を格段に働きやすく、生きやすくさせていた。それでも、それがなかった頃、大学生の生きづらくて辛くて寄る辺もなかった私の方が好きなのだと思っている。

それでも「あなたが大学に行くことを止める友達は一人もいないと思うよ」という言葉を受け止める。本当にその通りだった。私をずっと見てきてくれた友人たち、会社で私を育ててくれた先輩、上司たち。そして、これを読んでくれている恋人。皆の言葉に背中を押されて、私は3月31日を終える。卒業パーティがテーマのケーキプレートと共に。