ヒプステRoF見た直後の感想

信号街
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公開:2024/7/14

2024年7月14日に『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -Renegades of Female-を観に行き、帰りの新幹線で書きなぐった感想です。

注:①以下ネタバレ、多大な妄言あり。 ②パッションで書きました。内容誤認があるかも(配信が見たい) ③これを書いている人間は中王区のことが(その狂気含めて)好きです。思想的に賛同できるかと言うとできないです。でも好きです。


【東方天乙統女について】

 思いがけず乙統女さまが好きになった。

 彼女が己の狂気と怒りとミサンドリーを自覚している節があったのが思いがけず良かった。正気だった。また「月の音」に向かって階段を降りていく姿がバチクソにかっこ良かった。反面で「誰かから怒りを向けられる人間として弱みを絶対に見せられない(息子への愛情)」点に悲哀を感じた。話の構造上(後述)、ドラパより鮮烈だった。

 作中で最も他キャラクターから「かわいそう」と言う目で見られない(同情の余地がないように見える※)人物であるように思う。はじめて彼女をフィクションのキャラクターとして愛おしく思えた。

※ストーリーとしては狂気の幕開けの立役者だが以前の世界こそ十分に狂っていた可能性がある。

 いつかこの極端な女性優位(というか女性の地位向上、積極的な男性排除)の政策を融和していく必要がある(第2第3の3きょうだいが生まれるため)が、打ち立てた張本人が言い出しっぺになるわけにもいかないので党内・政府内でいろんな派閥が生まれた方がうまくいきそう。このあたり乙統女が想像より寛容そうでよかった。ところでこの世界、野党とかないのだろうか。演出のせいかなんか一党独裁の色味強く見えた。関連してライトつけての中王区ハンドサイン、設定のせいかステージの形状のせいか「これニュースの映像で見たやつだ」感があった(ディビジョンメンツのハンドサインではあまり感じなかった)。

【ツクヨミについて】

 初めの独唱がすごすぎ上手すぎて強キャラのたたずまいだった。なんとなく序盤から身内に政治家いるな~という感じがした。なんでだろ。

 一愛と対照的で捕まったときの顔が本当に「諦めた顔」「なにかの区切りがついた顔」だった点に『本物』を感じた。あらゆる葛藤を済ませ感情と思考と行動を一貫させきった人間に見えた。一人きりだと信念と心中してしまう人。

 最後のカテコのツクヨミ退場時に一瞬微笑んでてハートを打ち抜かれた。「そんなことせんでええよ(ツクヨミに向けて)」と「ありがとうございます(演者さんに向けて)」でシーソーしている。ありがとうございます。

【碧棺合歓と天都己一愛について】

「兄のチームメイト」じゃなくて「合歓の友達」ポジ(先輩後輩だけど)は初出なんですよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!交友関係、これからも続いて欲し………。中王区ヒプステになる(ディビジョンMCが出ない)ことで結果的に「(物語における舞台装置としての)左馬刻の妹」という呪縛から解き放たれているのあまりにも尊い偶然の産物すぎる(意図的かも)。いやドラパもそうだったけど…。ありがとう…

 一愛、合歓に「兄」の観点で責めなかったのは情だと思う(いや正反対すぎて言及できなかった可能性はある)。

 一愛と合歓のその後の面談録ください。喧嘩もしよ。あとあのとき行きそびれたおしゃれなカフェにも行ってこい。ええん……これからも、洗脳解除後も友達でいて……と祈ってしまう。

【勘解由小路無花果について】

 ステージに出てきたときの造形の美しさほんとうにすごかった。そのまんまだった。びっくり。どうしよう。恋。言葉にならない。ラップシーン強すぎてこわい。強い。そして強さに弱さが垣間見える。

 振る舞い方に矛盾が多く、人間くささが改めて好きだなと思った。ふだんの威厳ある振る舞い、一方で手が早い(胸ぐら掴む)、洗脳した側でありながらも(妹と重ねつつ)愛情もって目をかける、意外と揺さぶりに弱い(合歓と妹重ねてることを容易に言及され、暗に認める)、等

 以前から仄仄・無花果コンビが好きなのでびっくりしました。本当にびっくりしました。ちょっと同期でニコイチな関係に見えてびっくりしました。

【邪答院仄仄について】

 しごでき享楽家、かつ無礼ながらも粗相はしないあたりに(偏見だが)育ちの良さを感じた。籠の鳥って誰のことだったの。その人の一番大切なものを壊すのが趣味、あまりにも破壊工作に向いている。あと正論吐く人を壊すのが好き…なんですかね。

 仄仄→乙統女、好感度(?)高めと言うことが判明してとてもうれしかったです(新情報のため)。乙統女にうまく使われるのを楽しんでいるそぶりすらある。しかし人のために立ち上がった人(乙統女)が自分に対しては「能力があるから徴用している」と言ってくるの、どんな心境なんですか。壊したくなるような愛がないから、むしろ安心してる?それって子供が母親に対して「(優秀であれば)己を愛してくれる」と感じているのとあんまり差がなくないか……これは与太です。あまり健全でない親子関係のまねごとをして安心している仄仄、に見えてしまった。

 ドラパとの相違点としては仄仄が無花果のことを「おもしれー玩具」認定していたことがある。ドラパだと仄仄は無花果が登場した途端すごく興が冷めた応対をしていた(たぶん)。

【オルタナティブバトル】

 面白いのが「(兄を奪われた)一愛・ツクヨミの怒り」は「(妹を奪われた)左馬刻の怒り」と同質な点。オルタナティブラップバトル。ツクヨミと左馬刻の分水嶺が政府のレールに乗っかったか乗らなかったかにあるのちょっと興味深い。

 ツクヨミがディビジョンラップバトルに参加する未来(アリではあるが本人的にはナシかも)(でも絶対マジで強いと思う)

【組織vs組織】

 ディビジョンだと有志vs有志の印象が強かったが今回は組織vs組織の印象が強い。そのせいか組織としての比較もされてしまったのがなんだかつらく感じた。極端な政治思想、正規の方法から外れた政権奪取、超法規的な刑罰(?)(粛正ってなに)、民間人の拉致・洗脳(あと公式ドラパでは役職持ちが違法にビジネスしたり不当なノルマ稼ぎしたり恐喝したり暴行を加えたり国際条約違反したりしてる)とそろい踏みの言の葉党だが、クーデター後に国を存続させている、打倒したあとについての視点があった点で「月の音」より優位に立つ(このとき「存続」の中身の良し悪し・妥当性は問わない)。その一点において「怒りをもとに破壊工作をした末になにがあるのか?」という言葉に意味と価値が宿る。

 しかし一愛、ツクヨミタイプの人こそ言の葉党に欲しい人材だよな…

 言の葉党員が観客にアイコンタクトを向け「あなたを見ていますよ(ビックブラザー的な意はない)」と友愛を見せたのに対し、「月の音」が観客ではなく斜め上を見ていた、もしくは敵視する目を向けていたのすごく演出の妙だと思った。こんなに印象変わるんだ…。

【共通点と相違点、対比】

 ホノボノ除く主要キャラ全員にバラードタイムがあった。全員に大切な人との別離・死別があるなかでの対立、ということが強調されていたように思う。イレギュラーだったのが洗脳されている合歓で、幸か不幸か物語において(言の葉党員でありながら)中立の立場に立たされる。ここから公式ドラパ、洗脳解除後の合歓にうまく繋がりそうな様子が垣間見えるのでシナリオすげえ……と思いました。

 これまでステ一貫してオリディビとの決裂を描いていた(はず、違ったらごめんなさい)のでラストシーン鮮烈すぎた(単に倒してしまったら男と同じ穴の狢になってしまうのはある)。鎮圧しつつも一愛、ツクヨミたちにも今後がありそうな終わり方なの良かった(一愛がライブパート、「月の音」服着て真顔で踊ってたところから終盤薄く笑みを浮かべたところで泣いた。諦観の笑みではなかったと思う)。同じく「今後」があったD4はTDDの決裂との対照的に描かれてたので、今回はほかディビジョン(男)と中王区(女)との対比の含意もあるかもしれない(どちらが良いかとか比較する意はない)。

 またジャンル内で男・女の二項対立で述べられる傾向にあったなかで「男とか女とか言の葉党とか関係ない(うろ覚え)」と言うような言葉が中王区側から発せられた(合歓から発せられ、乙統女や無花果がそれを受け入れる方向だった)のが「『女性の夜明け』のその先」を予感させた。正直言の葉党、もっと言論統制強くて融通が利かない組織だと思っていた。

【ヒプノシスマイクの用途とその目的】

(ディビジョンラップバトルの文脈上でマイクを用いていたわけではないテロ)組織も採用するヒプノシスマイク、あまりにも武器。

 しかしヒプノシスマイクが武器としての性能をもちつつも、中王区が「(本当の意味で)言葉の力で戦う」と掲げていることが綱渡りながらも感ぜられた。

 なんだかこう今までヒプノシスマイクに対して「武力じゃんこのマイク!!!!!!」と叫んでいたのだがひとつの妥協点として生まれたものに見え始めた。対話で解決させる上でまず相手を椅子に座らせるための/タッパの力に関わらず使える(ただし要・韻踏みスキル)道具(この観点でいくと新生ヒプノシスマイクはアウト踏んでる気がするのでかなり与太喋ってます)。

 序盤、ディビジョンラップバトルに励む人々を指して乙統女たちが「愚か」と言っていたのは、(言の葉党への怒りを勢力拡大ゲームに向けてしまったこと※に加え)単にそれを力として振るい、優劣をつけるための道具として用いることに疑問を抱いていないことも指してたら面白いなと思った。この場合、終盤で合歓がマイク置いたことが本来の意義としてはある意味『正解』で、だから乙統女・無花果の「むしろ感謝すべきはこちらの方だ(うろ覚え)」「期待しています」となる。ただ期待を一身に向けられすぎではある。あと拉致洗脳はだめだよ。

※ただ上述したツクヨミと左馬刻の顛末の違いを見るに、「手段としてレールに乗っかった」というのもあると思われるので一概に「愚か」とは言えないのではないか。TDD左馬刻そんなようなこと言っていた記憶。

早く配信が観たいです。

ありがとうヒプステ…。

@mennngennn
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