トゲがない

metayuki
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足の裏がちくちくするな、と半日近く気にしながらもしっかり確認する余裕がなくて、夜、自宅で確かめたら小さなトゲが刺さっていた。トゲ、ひさしぶり。

自分が子供のころは、しょっちゅう刺さっていた気がする。どこでそんなに? 割り箸? 竹刀? 通学路や遊び場の植物? 教室の窓枠も木製だったりしたので、そんなところで刺さったトゲもあったかもしれない。

ここ数年、あるいは十数年とか、トゲの刺さらない生活を送ってきた。トゲ抜きも自宅にあるかないか、はっきりしない。毛抜きとかピンセットとかで代用できるし、5円玉を使えば簡単に抜けるなんて話題をネットで見かけたようにも思う。

今回は、指先でぎゅっと押したらトゲが出てきたので、道具は使わずに済んだ。抜けたのは2、3mm程度の、なんのトゲかわからないやつ。どこから来たの、と話しかけたくなるくらいのささやかなやつ。

大人になったからトゲが刺さらなくなったのかとも考えたけれど、自分の子が幼いころにトゲを抜くことがあったかと思い返してみれば、ほとんどなかった。やっぱりトゲが刺さること自体が世の中から減少していっているのではないだろうかという推論。

もしもその推論があたっていて、世の中からトゲが減りつつあるのだとすれば、「言い方がきつい」という意味合いでの「トゲがある」も伝わりにくくなっていくのかもしれない。「美しいものにはトゲがある」のほうが先に伝わりにくくなるかもしれない。

トゲ、刺さるのはいやだけど、言葉まで毛抜されてまるくなっていくくらいなら、2年に1度くらいなら刺さってもいい、かなあ。あんまり痛くないやつでお願いします。

@metayuki
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