中庭のティーパーティ

metayuki
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子供のチョコ作りを、ほんのすこしだけ手伝った。そんな2月の休日。

お菓子作りが好きで、特に高校時代にはあれこれ作っていた。なにがきっかけで目覚めたのかは記憶にない。高校2年生の秋に部活の3年生が引退して、僕はパーカッションのパートリーダーに就任した。同期の女子のほうがキャリア的にも適任な気がしていたけれど、20世紀だったこともあり、男子であることが優位に働いたのかもしれない。あるいは、こっちのほうが可能性はありそうだけど、パーカッションに男子は僕ひとりだったので、女子をリーダーに擁立するよりは、中山を矢面にしたほうがいいだろう、と考えられたのかもしれない。

同期がひとり、ひとつ下の後輩が4人、合計5人のメンバーをまとめていかなくちゃいけない。どうしたものかと悩んだ末、休日の練習に手作りのアップルパイとかチーズケーキとかを持っていくようになった。ついでに午後の紅茶のペットボトルも購入して(もちろん自腹で)。それで、午前中の練習をちょっとだけ早めにきりあげて、学校の中庭に机を出して、ティーパーティをひらいた。それでパートがまとまったのかどうか、自分では判断できない。でもまあ、みんなつきあって食べてくれたし、部内でそれが問題視されることもなかった。「俺、こんなの作れるんだぜ」みたいな自慢の気持ちがなかったといえば嘘になるけれど、「みんなで食べるためにつくってきました」という気持ちのほうが強かったのも本当で、まあ、器用なんだか不器用なんだか、と、自分で振り返ってみてもちょっと呆れる。

その後、新年度を迎え、新入部員を迎え入れたわけだけれど、あらたに加わったのも女子3名だった。新入部員たちが入ったあと、手作りお菓子を持っていったおぼえはない。自分を入れると9人になり、ホールケーキを切り分けるのが難しかったのかもしれないし、さすがに受験生になってまでお菓子づくりとはいかなかったのかもしれない。

いまではせいぜい家族のために料理をするくらいだけれど、機会があれば、中庭のティーパーティみたいなことをまたやってみたいと思う。もしもかなうのであれば、あのときの部員たちを招待して、学校に許可もらって、そういうのもいいな。

@metayuki
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