封じ込めれば重くなる

metayuki
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昨晩飲んだアレルギーの薬が効きすぎてしまって、今日はずっと不調。日中、すこし街なかを歩く用事もあり、それが特段にきついというのではなかったのに、パソコンの前に座ってさあ仕事しようかというときに全身が重くなった。自分の体の半分を後ろにひっぱられるような感覚で、ホラー映画で見かける「抵抗できないまま追い詰められていく」場面を想起した。薬にも功罪があって、アレルギー症状と向き合うか、この重力操作系スタンドの攻撃に耐えるかの二択になってしまっている。肌が真っ赤に荒れてしまうより、自宅で大人しく重みに耐えるほうが、社会生活への復帰(おおげさな言い方)にはいいのかもしれない。

ま、これを書いているということは、それくらいには復活してきたということである。

以前、転職エージェントに騙し討ちをくらったころ、エナジードリンクを毎日飲んでいた。エネルギー補充を欲してではなく、単純に味が好みだと思って飲んでいた。で、当然のように心臓に負荷がかかり、あ、やばい、と感じることが重なって、飲むのを控えるようになった。妻に聞くと、このころの僕はそれなりにまずい状況にあったようで、自覚がないというのは本当におそろしいものだと、あとで反省した。とはいえ実際のところ自分で自分を理解するのは難しく、僕が反省したのは他者の様々な事例を知ることによって、具体的には鬱であったりの経験談や創作なんかを通じて、自分もこうだったのか、とおぼろげながら把握した、ということである。

さらにさかのぼること二十代のある日、医療従事者の知り合いに冗談めかして「いやあ、俺も鬱になりそう」と言ったところ、「冗談で言うことではない」としっかり注意された。普段そういった態度をとる人ではなかったこともあり、これは即座に反省した。軽々しく言うものではない、まして冗談にするなんて。普段はそうやって真面目な態度でいられるのだけれど、仕事の打合せの前後にかわされる雑談なんかにおいては、不謹慎な冗談がいくらでも飛び交っている。僕もあいまいな態度で受けたり、受け流したりしているので、自分が正しいとかいうつもりはない。冗談にできるうちは大丈夫、という考え方もあるだろうし、冗談でも吐き出しておいたほうがいい、ということもある。

なんかそれって、アレルギー症状に似てる気がした。放っておけば痛み、痒み、肌荒れ、擦過傷とひろがっていく。封じ込めようとすれば体が重くなって日常生活が停滞する。どうだろう。そんな重ね方もまた忌避されるべきことなんだろうか。

@metayuki
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