子供たちが春休みに突入する。ということはつまり進級やら進学やらの季節であり、毎年のことではあるけれど、もうそんな時期かあと思わされる。「そんな時期かあ」という感慨込みの思いにはいろんな要素がごった煮になっていて、おでんの具をひとつ取り上げるようにひとつの話題を引き出すのがなかなか難しい。たとえば震災やコロナのこともひもづけられてしまっていて、この季節の空気にはいつまでも慣れないようなところもある。
20代前半、熊本で働いていた時代、このくらいの季節にずっとくるりの「ワンダーフォーゲル」を聴いていた。夜、帰宅するときには絶対その曲から始めていたので、春になると思い出す曲になった。
勤務先の近くにタワレコがあったので、なにかというと出かけていって試聴しまくっていた。タワレコのフリーペーパーとかロッキング・オンとかから情報を得ることも多かったけれど、洋楽は試聴して気に入ったものを買うようにしていた。安い、というのもあって、洋楽を多く買っていた。くるりはそんなに好きってほどでもなかったけれど、「ワンダーフォーゲル」はテンションがあがることもあって聴いているうちに手放せなくなった。
仕事中にイヤホンつけて音楽聴くのが駄目ではない職場だったから、気分転換にあれやこれや聴いていた。そういえば、初めてパソコンに音楽取り込んでCD-Rに焼く、ということをやったのも、当時の職場のMacを使ってだった。
とりとめもない文章。
とてもお世話になったデザイナーさんに「中山君も結婚したらCD買わなくなるよ」と言われたのをおぼえている。妻帯者になれば、子持ちになれば、自分の趣味に使うお金はなくなる、という忠告だった。で、実際どうなったかといえば、確かに買う数は減っていった。レンタルで取り込んで焼けるようになったからかもしれない。
熊本のタワレコであれこれ漁っていた時代に、「これは!」というくらいに試聴で惚れ込んだのがジョナサン・ファイア・イーターというアメリカのバンドで、なのにあっというまに解散してしまった。なんでや。
あのバンドも、あのバンドも、もういない。音楽はいまも聴けるけれど、この人たちの音楽をもっとたくさん聴きたかったなと思うバンド、数知れず。
ちなみにくるりはアメリカ人のドラマーであるクリストファー・マグワイアが在籍していた時代がいちばん好き。従って、アルバムも『アンテナ』をよく聴いた。
「HOW TO GO」という曲の一節も、春な気分になる。
「僕達は毎日守れない約束ばかりして朝になる」