2月8日は私立恵比寿中学のメンバーであった松野莉奈の命日であり、彼女のメンバーカラーが青だったことから、毎年、この日にはメンバーのSNSに青空の写真が投稿される。福岡も今日は青空が見えた。
2017年の2月8日、彼女は致死性不整脈によって亡くなった。18歳だった。
話はずいぶん昔に遡って、2010年ごろのこと。アイドルを好きな女性を主人公に据えた小説を構想していた僕は、妻の友人であるYちゃんにアイドルに関する情報をもらい、彼女が好きだったBerryz工房のライブにも連れていってもらった。品川のメルパルクホールだったと記憶している。熊本で働いていた時代にテレビ局の夏のイベントでモーニング娘。を見たことがあったくらいで、アイドルのライブというか現場の熱気に触れたのは、Berryz工房が最初だ。そもそも自分からアイドルに興味を持ったことはなかった。三十を過ぎて現場に足を運ぶことになるなんて。
ちなみに、アイドルを好きな女性を主人公に据えた小説は、「女性が女性アイドルを応援すること」にリアリティがなさすぎる、という編集者の意見で頓挫した。リアリティを書けなかったこちらの落ち度なのだけど、「推し」の概念がなかった時代らしい顛末でもある。
Berryz工房を皮切りにハロプロ系の曲を聴く時期があり、Yちゃんからはほかの系列のアイドルもいろいろと紹介してもらって、その中にももクロもいて、その流れでエビ中の存在も知った。コンセプトのあるグループにどうも自分は興味を持てるらしいと、そのあたりで自覚した。コンセプトがあるということは、それに沿ったストーリーがあるということだ。そのような経緯があって、エビ中の活動を追いかけるようになった。
メンバーの突然の死。それをストーリー性と呼ぶのは憚られるものの、でも、そうした求心力があることは否めない。
ほかのアイドルには関心が持てないままだけれど、昨今の「推し」隆盛についていくらかなりと理解できるのは、Yちゃんのおかげでもあるし、自分が好きと思えるグループがいまもなお活動してくれているおかげでもある。
自分の恩師といえる方の訃報もあったので、今年は、例年以上に考えることが多く、なかなか落ち着けない。推しでも恩師でも、会えるときに会いに行っとけ。