みんなの髭剃り史

metayuki
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髭剃りに失敗して、右耳の下あたりから出血した。たらたらと垂れてくるので絆創膏を貼ったものの、絆創膏に大きな黒い染みがついたような状態になっている。

アトピーが原因で肌に傷ができるのはしょっちゅうで、小中高とプリントをうしろにまわすときなどに血がついていないか確認するのが癖になっていた。他人の血なんて気色悪いだろうと、子供のころからそれくらいのことは思っていたし、実際にそういう態度をとられたこともある。仕方ない。

などという思い出を語ってもしょうもないので、髭剃りのことに話題を戻そう。自分がいつ髭剃りを始めたのか、明確な記憶はない。中学生だったか、高校生だったか。多分、高校生になってから。洗面所に置いてあった父の電気シェーバーを勝手に拝借していた。途中でちゃんと申告したか、父のほうから「使っていいよ」と許可をもらったのか、そのへんも定かじゃない。高校生の髭剃りなんて週に一度とかそれくらいだったから、わざわざ自分のものを買う必要もないと思っていた。

大学生になり一人暮らしを開始するときに、父のシェーバーをもらったような記憶がある。ちゃんとしたやつじゃなくて、出張に持参するためのコンパクトなやつだった。肌が弱いのでカミソリには負けるだろうという思い込みもあり、また、カミソリを使うときにはシェービングフォームが必須であって、それも肌によくない、といったような理由で、しばらくはそのコンパクトな品で凌いできた。

たしかこれも大学生のとき、父方の親戚が集まることがあった。祖父母も存命で、みんなでわいわいと宴会をやっていた。父の兄であるおじさんが、祖父に電気シェーバーを貸した、という話題になった。きれいに剃れたものだから、祖父はおじに「これをくれ」と頼んだらしく、しかしおじは「俺だって買い替えたばかりで、けっこう良い品だから、あげない」と答えた。まともなシェーバーを買ったこともない僕は、「なるほど、ちゃんとした電気シェーバーはお高いものなんだ」と思い、そんな贅沢品を大学生の自分が買うわけにはいかないと考えるようになって、それから数年、コンパクトタイプの安物を使いつづけた。

だからなに、という話ではあるのだけれど、ほかの男性諸氏がどのような髭剃り史を持っているのか、ちょっと興味がある。たまにネットで商品レビューなんかを見ると、髭剃りに一家言持っている人が多いように感じて、ろくに考えずにすみません、という気持ちになるのだけれど、ほんとにみんなそんなに考えて選んでるのだろうか。

@metayuki
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