換金不可

metayuki
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ひさしぶりに、参加人数の多い(といっても10名ちょっと)打合せに参加して、自分がメインの発言者じゃないこともあり、参加者の観察に意識をまわすことができた。といって、その場であれこれ掘り下げるのではなく、ざっと見回して、どのタイミングでどんな動作をされているのか、というのを記憶にとどめるくらいのもの。あとで思い返して、どこにどんな個性が表れていたのかを検討して楽しむ。なんだその陰湿な楽しみ方。

人を見る目、という言い回しがあって、たまにリアルな会話のなかでも、見る目があるとかないとかいう発言を耳にする。しかし「人を見る目」にはどこ目線なのかという前提が必要で、友人として、恋愛対象として、人事として、ご近所さんとして、などの立ち位置にフィットするかどうかがジャッジされる。される? それっぽく書いたけど、あんまり自信がない。なんだろね、人を見る目って。主観に左右される最たるものではないか、という気もする。

二十代のころ、おなじ職場の人たちと飲んでいるときに、ある先輩が「私はどんな人物だと思うか」といった質問を投げてきて、べらべらと思うところを口にしたことがある。先輩は不満そうだった。酒の席での会話だし、自分から質問したことへの回答でもあるし、僕もそれほどひどいことを言ったつもりはなかったのだけれど、でも、こちらの発言を飲み込むのに先輩が苦労しているのは明らかだった。飲み込んでくれただけ、あちらが大人だったともいえる。(大人でも飲み込めない人は大勢いるので、この評価も妥当ではない。先輩が優しかった、というほうが適切だろう)

このエピソードは、僕が「俺って人を見る目があるんだぜ」といいたくて持ち出しているのではなく、むしろ逆で、なにをどう伝えたら相手が不快に感じるのか、そこを理解していなかったという反省の事例として書いている。さすがに今ではそういうことも少なくなった、と言いたいところだけど、自信はない。公的な場でしゃべらなくてはならないとき、時間が余ってしまうとつい余計なことを口にしてしまう、そういう癖がある。よくない。

会社員時代には、まわりの人たちからよく「中山は辛口」と指摘されていたので、やっぱり配慮が足りない話し方をしているのだろう。そんなつもりはないといくら弁明しても、言われた側がそうは受け止めていないのであれば、非はこちらにある。

考えていたら、取り消したい発言がつぎつぎと思い出されてきて、それはもう、ハロウィンの季節に墓場から魂たちが飛び出してくるかのごときである。後悔でフィーバーしている。換金できれば最高だけど、そうはいかない。

@metayuki
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