日本にないもの。日本にしかないもの。

metayuki
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肩凝りというものがよくわからないし、マッサージを気持ちいいと感じることがない。肩を揉まれて「凝ってますね」と言われたことは何度かある。自覚がないので「そうですか? 自分ではわからないんですけど」と返すと「凝ってますよ」と力を込めて言われたりする。強がりとかじゃなくてですね、と説明したい気持ちも芽生えるものの、そんな問答は不毛だろうから控えておく。

肩凝り。ひょっとして僕もやっぱり肩凝りを経験していて、「いやあ、めちゃ凝ってますわ」と惨状を訴えるべき状態なのかもしれず、だけどそれを「肩凝り」と判別できずにいるだけなのかもしれない。

皆に問いたい。「あなたはいつ肩凝りの感覚が『それ』だと理解しましたか?」と。若いころには味わうこともなかった感覚で、外から見てわかるものでもない。そんなのでどうして「うむ、これは肩凝り」と言えるようになったのか。

ほとんど言いがかりみたいなことを書いている。だけどよくよく考えてみれば、甘いとか苦いとかだって本当に自分の感覚やジャッジが正しいかわからないじゃないか。いったいどこからが肩凝りなんだ。あなたの肩凝りはどこから? って風邪薬みたいな質問を四方八方に投げて答えを掻き集めて分析したところで、自分の中に判断基準を設けられるか自信ない。いや、なにその自信て。「俺、いま、肩凝ってる自信あるんだよね」とかのたまう機会ないだろ。

どうして肩凝りの話をあれこれ考えているかという、最近、メッセンジャーバッグが欲しくて探しているから。どうしてメッセンジャーバッグが欲しいかというと、愛用しているショルダーバッグの紐が細いせいか、重たい荷物を持って一日うろうろしていると肩が痛くなるから。そもそもこの重量の荷物(だいたい最近はiPadとスケッチブックとペンケースと財布とハードカバーの本と水筒とかを持ち運んでいる)を運ぶためのバッグではないのだ、多分。だから、ベルトが幅広で負荷がすこしでも軽くなるのが理想。

メッセンジャーバッグで好きなブランドはtimbuk2なんだけど、いつのまにか日本から撤退してて、残念。ほかのブランドの品だと、要らぬデザインがほどこされていて、気が乗らない。

惚れられるメッセンジャーに出会う日まで、応急処置として、普段は左肩にかけるストラップを右肩にしてみたりしている。いまのところ右肩は痛くなっていない。右肩にストラップをかけつづければ、いずれ痛くなるのだろうか。そしてそれは肩凝りなのか、ストラップの食い込みによる痛みなのか、どっちだろう。

「肩凝り」を感じるのは日本人だけ、という、たまに目にする豆知識がある。僕が「俺は肩凝りじゃないぜ」と考えがちなのは、その豆知識によるバイアスかもしれない。ある、あるよその可能性、おおいにある。「肩凝りを知らないから肩凝りがわからない」ではなくて「肩凝りはまやかしだろ」と斜に構えたいだけかもしれない。

でもいまの気持ちを正直に書くなら、timbuk2の日本撤退が悲しい。それだけ。

@metayuki
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