どんまいラーメン

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ラーメンが食べたい。というのはとても瞬間的な欲望でしかも満たされたい時に限ってラーメンを食べる準備ができていないから困る。例えばもう遅い時間で、ニキビが出来ちゃうとか。

以前住んでいたところはラーメンの有名な街で、スーパーに行くと茹でで作る生麺と熱湯で割るスープの素のセットがお手頃価格で手に入った。週末の昼ご飯は大抵ラーメンで、しかも素ラーメン。載せるとしても普通のハムかたまにセブンプレミアムのメンマ。やる気があればゆで卵。そのシンプルさが好き。

ところがどっこい。都内に出てみるとラーメン屋はたくさんあるのにどこも大盛り大判振る舞い、てんこ盛り。こんなの、ラーメンじゃないじゃない!と目を丸くして少しずつ頬張る。胃袋の限界まで麺を詰め込んでやっとどんぶりを空にするともう一歩も動けない。まさに満腹。これじゃ確かに太るよなあと思いつつ、たまにならいいかもと思う一方、やはり思うのはこんなのってラーメンじゃない。

先日いただきものでいろんな詰め合わせをいただいた。そのなかに、なんと、袋のラーメン!。思わず飛び上がる。これこれ、私が食べたかったのは。お店で食べるごてごてしたラーメンではなく、あっさり麺と家にあるものとやる気に応じて作るラーメンが私のラーメンだ。早速茹でようとして気付く。どんぶりが、ない。なんてこと。すっかり忘れていたけれど、こちらに住んでからラーメンを茹でたことがなかった。

こんなにも食べたいのに、今この瞬間にも私の胃袋は渇くほどになほどにラーメンを求めているのに準備が足りないのだった。ああ、ラーメンを食べる準備って難しい。

@mi083
虚構現実