今日は上野の国立西洋美術館で『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?』という展示を観てきた。国立"西洋"美術館はその名前の通り、その65年の歴史の中で西洋美術を中心にキュレーションを組んできたという背景がありつつ、作品の貯蔵庫(墓場とも言われる)である美術館が現代のアーティストにどのような影響を与えうるのか、また今後その影響を与えるに足る資格があるのか、という"問い"が発端となった展示会らしい。
この展示会の中で美術館を"磁場"のアナロジーで語っていたのがおもしろいなあ、と思った。美術館というひとつの建築、システムがその場独特の力学を生み出し、周囲のステークホルダーに(双方意図するしないに関わらず)影響を与えていく。たくさんの関数や変数にまみれている社会で、美術館という"磁場"はひとつの世界を形成しているんだろう。一億総クリエーター時代なんて言われて久しいけれど、こと現代アートの文脈(=コンセプチュアルなメッセージを表現している)とアート業界に限っていえば、やっぱり美術館は改めて自らの在り方を問い直し続けなければいけないのかもしれない。もちろんジャンルに特化した所蔵やテーマ設定はあるのだろうけど、脱西洋史観のみならずアートのジェンダー偏重傾向の是正も含めて、『正しい』美術館のマネジメントというものが全世界的に求められているということなのかも。
そういった意味では、65年の歴史のある西洋美術館が現代アートとの関わりを自省するような"問い"を立てたというのは、個人的には並々ならぬ覚悟と哲学を感じて勝手にわくわくしてしまう。館長の田中正之さんとキュレーターの新藤淳さん、かっこよすぎるよ、、、。個人的な好みの問題ともいえるのかもしれないけれど、当たり前になりがちな在り方を問い直し続ける批判的思考は、このジャンクな情報とドラッグなシステム、ノイズがあふれ返っている現代社会で大切な素養のひとつなんだと思っていたりもする。考えすぎもよくないけどね。
美術館を"磁場"と捉えて、そのシステムとしての役割を問い直す在り方をみて、自身の美容師として役割、社会におけるサロンの役割、お客様に与えうる影響と影響を与えるに足る資格があるのか、という自問を改めて問い直していくきっかけをもらえた気がした。サロンという"磁場"ではたらく力学、そしてこれからのサロンの在り方、『正しい』サロンのマネジメントやビジネスモデルってなんだろう。
思考停止がいちばんよくない。問い続けていきたい。社会にも、自分自身にも。たまにラテでも飲みながら。