唇が触れるすこし手前の、
まなざしが好き。
熱くて、鋭くて、
どこか怖がっているような。
精一杯の背伸び、
あんなに遠かった瞳が、
こんなに近くにあるなんて。
思わず息をひそめちゃう。
おおきな手が頬に触れ、
抱き寄せられて、
唇が触れると、
何もかもを忘れるみたい。
合間に「ティータ」と呟いて、
わたしには呼ばせてくれない。
息を飲むとすぐ唇がかさなる、
くるしくて、愛しい時間。
唇が離れたすこしあと、
どうして目を逸らしちゃうの。
照れたように伏せる緋色のまつ毛。
何か踏みとどまるような息づかい。
止めないで、
ずっと見ていて。
このまま遠く遠く、
どこまでも連れていってほしいの。