観た映画の感想をリアルタイムでしたためるおたくっておるんや(いるよ)
めちゃめちゃおもしろかった。正直言って期待らしき期待をしていなかったし、なんなら当初は観に行く予定なんてなかった。
それでも、実際に観たらとても惹きこまれた。なんというか、圧倒された。同じ一つの物語でも、視点人物が変わるだけで、見ている世界がここまで変化するものなのかと感銘を受けた。
「凪」という生きもの、「御影レオ」という人間、ライバルとしての「いさぎよいち」、「凪とレオのパートナー関係」、「凪といさぎの主人公ーライバル戦線」。チェス盤をひっくり返されるような気持ちになったのは主に凪といさぎの関係で、原作本編よりも相対的に深く掘り下げられることになった凪とレオの関係性については、二人の行動の解像度が上がった気がして以前よりも腑に落ちるような気持になれた。JFU施設内のホールでくにがみくんが映ったとき(こんなにもイケメンだったか?)とびっくりしたし、Beast Modeはもはや私の最推しことばちらめぐるに書き下ろされたイメージソングだと思ている(え?)。
Beast Modeで思い出した。映画を見終えてまず真っ先に思ったことが「音楽の良さ」だった。主題歌や劇中歌はもちろんのこと、OSTもそれぞれとても素敵だった。
特にチームzとの対戦中に凪が己の好奇心のままに内心で問いかけるシーン、あそこで響いたOSTが一番印象的だった。凪を凪たらしめる無垢な部分が音に表れていて、雨雫のように静かに尾を引く感じがした。迫るような切実さがあった。ばちらめぐるの逆襲シーンで流れたギターサウンドや、糸師の凛さんの凛様無双専用OSTもメチャ良かった(前々から思ってたけど系統が僕赤司くんすぎる)。サントラCDを買いたいと初めて思わされた映画だった。いや今まで映画を観てこなかったのもあるけど……。
オクターヴの話していいか? いいよ
歌詞がストレートで良かった。最近のアニソンって汎用性の高いことばを用いながらもマジで物語に即した内容をお出ししてくれて、しかもそれを音と歌声で表現してくれてスゲ~と思う。最後のは時代関係ない、了解。
オクターヴは「変わらないまま」「いつまでもずっとあの日のままで」という言葉が頻出するけど、私はあれは「あなたは変わらないでいてね」ではなく「変わっていかなければ生き残れない世界で、変わらないものは確かにわたしのなかにあるんだよ」「変わっていく世界、変わっていくわたしたちのしるべは”ふたりで交わした約束”というあの日の宝物で、それはずっと変わらないって信じてよ」て聞こえた……たすけて……。
というかオクターヴって ピアノでいう低音と高音のことだよね ドレミファソラシドのドに喩えるとすると、低いドと高いドは同じドながらも全七音の中で最も離れている。でも、その「高いド」は「そのまた次の音階にとっての低いド」でもあり、ドレミファソラシドという一つのまとまりの中では最も距離が離れていたとしても、鳥瞰すると「同じ音として重なる」ことができるわけじゃん……楽器経験がピアノのみなので、ついピアノで考えてしまい、閉口。いやでも凪とレオの関係性にフォーカスした映画の挿入歌のタイトルを「オクターヴ」にして、「変化する自分に前のめりになる凪と変化する他人に怯むレオ」を描いた直後の二次セレダイジェストで流すのが、文脈込みであっぱれでした。
音楽だけで無限に語れる気でいる。それくらい好きでした。
ほな物語について言及させてもろて(先に記しておくと私はエピ凪漫画未読です。映画オンリーのひとなので映画で映された内容しか語れません)
エピ凪、ないものねだりの話だな~と思った。ここまだ上手いこと自分の中に落としこめてないので話がいったりきたりするんだけど、なぜか無性にそう思った。
W杯優勝という夢に熱意があるレオと、その熱意に惹かれてレオに情を抱いた凪→競技そのものや勝負の世界で露になっていく”まだ見ぬ未知”に熱中していく凪と、変化する凪を前に”凪という才能”ではなく”凪という人間”への執着を自覚するレオのすれ違いが美しかった。
対比好きおたくだからいさぎとばちら、なぎとレオの相棒対比も好きだった。「先に行くけど約束なんてしないよ」のいさぎばちら、「約束だよ」のなぎとれお、ハア~~なんかさ、「約束」って「幼い誓い」みたいだなって思った。「約束」といえば指切りげんまんが浮かぶんだけど、指切りってあれ明確な証がないなといま気づいた。誓いをたてるときは、誓約書なり指輪なりなんなり、とにかく何かしらの物的証拠は残るわけじゃん。でも指切りげんまんの約束にはそういったものがない。身一つだけ、お互いのほっそい小指だけを絡め合って「約束だよ」と口にするさまは、ちょっと私の心を打つものがあった。凪とレオは指切りげんまんなんてしてませんでしたけど? いや、「約束」というワードから私が連想した私の概念世界では指切りしてたんで……
レオの独白と咽び泣きも印象深かった。あの独白がないのとあるのとでは御影に対する印象や好感度に雲泥の差があると思う。いさぎ主人公版では御影の心情を入れる余地がないから道理ではあるんだけど……でも、御影の「嬉しかったんだ」「でも凪を変えたのは俺じゃなくていさぎで、それを認めたくなくてその感動に蓋をした」「認めてしまったらおまえのとなりにいられなくなる気がした」は、凪とレオの関係性に懸念を抱いており、かつエピ凪に触れていないおたく(私みたいなやつ)には一見の価値あり……と思った。そういうときに特典商法が活きてくるなら、ああいう商法もまあ存在していてもいいのかもしれへんね……と思った。思った星人。
レオは凪を変えたかったのだろうか。「おまえはそのままでいい」と邂逅時に言いつつ、凪とかかわっていくうちに心境の変化があったんだろうか。凪という苗の開花を促す陽光になりたかったのだろうか。レオはたしかに陽光ではなかったけど、凪という苗の土壌をつくったのは間違いなく御影であると私は思う。でも、大地は光を妬んでいるんだよなあ。光だって大地にはなれないのに。レオの「ないものねだり」の発露は此処かなと思う。
光も大地になれないと言ったけど、光こといさぎっちには、みかげっちのような負の感情が無いんだよね。「俺も凪の情緒を育む土壌になりたかった」とは微塵も思ってない。いさぎっちとみかげっちはそこがアンバランスで、凪を挟んだ負の感情総量の天秤が不均衡だからこそ一方的感があらわれるんだろうなと思う。いさぎっちはないものねだりしてない。フィジカルではかなわないと思い至ってもすぐに思考を切り替えてる。そうでございますか~。
レオも凪も各々モノローグが追加されたことで、行動と気持ちの解像度が以前より上がった気がしました。結局キャラクタの情報量って「視点人物が誰を注視するか」にかかってるよな~と思う。凪視点のばちらと、いさぎ視点のばちらの情報量も結構違うし。
凪 おい 好きだ もともと作品内で好感度は高い方だったけどより好きになった 映画見てよかった
はい 私は いさぎ主人公ストーリーと凪主人公ストーリーだったら後者の方がより好きです
凪、なんか一貫して笑わないな~と思ったけど、唯一レオとのファーストインプレッションで(……俺に?)と片頬を染めている(表現的には斜線はいってた感)ので
つづく(普通ここで区切るか?)