11月22日。
なんてことのない日。特別なことなんて何もない、ありふれたいつもどおりのなんでもない日。
日も落ちて空が暗くなった頃、いつもどおり彼が仕事から帰ってきた。
おかえり、と声をかけて夕食の支度を進めていたら背後から聞こえてきた声。
「これ、あげる。」
振り返ると彼の手には一輪の薔薇。
えっ、なんで?どうして?、と驚きすぎて半ば動いていない頭をフル回転させる。
今日何かの記念日だったっけ、誕生日だったっけ、お花が必要になるような予定あったっけ。
「いい夫婦の日だから。夫婦じゃないけど…いつも美味しいご飯作ってくれてありがとう。」
人生でお花をもらったことなんてなかったからすごく嬉しくて、お花初めてもらっちゃった、と笑うと「俺も初めてあげた」と返ってきて、それがまた嬉しくてずっと頬が緩んでた。
彼にとっていい恋人にちゃんとなれてるのかわからないけど、この先もこの人の隣にいたいと思った日だった。