自宅2階のトイレには、フェスのフライヤーやポスターが貼りっぱなしであった。何年か、古いライブハウスのトイレか廊下のような状態になっていたが、ようやく模様替えを済ませて、大変満足している。
100円ショップでB5対応のフォトフレームを3つ買い、気に入っている写真を印刷して、釘を打って飾るだけ。どれもライブのときの写真だ。どれにするか悩んだが、いずれも思い出深いものばかり。模様替えによって、すっきりと綺麗な壁になった。たったそれだけのことだったのに、構想から実行まで何年かかったことか。
写真が好きだ。思い出を切り取ってくれるから。思い出がなければ乗り越えられないこともあるが、思い出だけでは生きられない。最近特にそう思うようになった。自分が写真に写る時は加工をする。思い出は残したいが現実は直視したくない。そういうお年頃なのだ。
なかには多分、撮らずに思い出だけでもよいような写真もある。しかし残念ながら記憶力は日々劣化していく。だから写真を撮るということも多い。
今でこそ写真をよく取るが、スマートフォンを手に入れる前の写真はほとんど残っていない。しばらくまえから一眼レフを使っているのだが、撮影する側なので写真には写らないのだ。20代のころの写真など、結婚式を除くと、数えるほどしかないだろう。そういう経験もあって、私は「写真を撮る人」の姿を好んで撮っている。
忙しいふりをして(いや多分忙しいのだが)、いろいろ後回しになっていたことも、今年は進めていこうと思っている。これはそのなかのひとつ。2023年、それほど大きく年が離れていないアーティストが、大勢鬼籍に入った。私はアーティストではないとはいえ、年が近い人の訃報はきつい。あと10年あるいはあと5年しかなかったら何をしたいのか、を考える今日このごろ。日々をどれだけ頑張っていても、小さな後回しは数えきれないほどある。それをなるべく減らしていきたい。