友達と駅で別れて電車に乗ったときは特に、突然の孤独におそわれる。
いつも、電車でだいたい1人になる。大学からはみんなバラバラの方面に帰るし、高校の友達は集合場所で現地解散になる。
それでたまに1人の時、電車にこわいひとがいるんですよ。
みんなが振り返るようなことをする人たち。今風にいうと、「ヤバい人たち」なのかもしれない。
私は今日、津田沼行きの総武線最終電車に乗った。遅くとも最終電車より1時間前には電車に乗ってきた私にとって、「終電で帰る」という経験は23歳にして初めてかもしれない。じみに。
もし、金曜日の最終電車で電車ごと酒気検査をしたら、全員ひっかかるのではないだろうか。というくらい、多分みんなお酒をのんで帰ってきた人ばかり。それと疲れのせいかいつもより、背もたれにもたれている人が多い。
ホームで階段を登ってすぐの車両に乗ると、午前1時の電車にしては沢山人がいた。階段を登ってすぐの車両って、人気だよな。
「津田沼行き最終電車ードアが閉まりまーす」と車掌のアナウンス。次に、ドアが閉まる。閉まろうとしたドアが、ガタンと音を立てる。
わかる。「挟まった音」だ。オジサンは、「車掌いないのぉー!?車掌よんできてよおー!」などと大声で叫んでいた。電車内とホームを跨いでドアと垂直に立って挟まり、閉じるのを阻んでいるようだ。
私を含め、みんながそちらを向いた。そして私はすぐ前を向き直して、スマホに目をやる。向かいの席に座る人は、まだオジサンに目をやっていた。
こわい人がいるといつもそう。どうしようと思いながら、クールな私を演出してしまう。絡まれないように。動揺しないように。知らないふり。関係ないふり。
みんな、こういう時どうしているの?強がってるだけで、本当は怖いよね?何されるかわからないし、何しだすかわからないじゃない?刃物を持ち出したら、命を狙われたらどうしよう…
そう思いながら、スマホを見る。この瞬間が孤独だ。
できたら、孤独から抜け出したい。今日はやけに、「電車にやばい人乗ってきた…」と思った経験を誰かとわかち合いたくなった。
今日、最終電車に、こわい人が乗ってきた。知らん顔して、スマホを見る。最近知った、文章を書いておけるサイトをひらく。「同じ電車にこわい人が乗ってきたら」と打ち込んでみる。よし、これで、孤独から抜け出せるかもしれない。