書きたいことは無限にあるのに書けていない……。少しずつでも書いていこう。せっかく、ここでは体裁を気にしなくていい(と決めている)んだし。
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マメ氏が生後5ヶ月を迎えた。
月齢日には毎回、おむつ一丁にひんむいて決まった場所で写真を撮っている。0ヶ月から5枚(そういえば、データ上も数える単位は”枚”でいいのだろうか)の写真を見比べてみると成長ぶりがよくわかって面白い。2ヶ月・3ヶ月の頃に比べると格段に手足が長くなり、全体的にも肉付きががっしりして、頭身バランスが整ってきた。まだ下半身が弱いので「赤ちゃん」のフォルムだが、着々と歩行する人間になる準備が整ってきたようだ。
体が大きくなるとともに、とうとう歯も生えてきた。一昨日(1/7)のこと、いつものように遊びがてら私の指を吸わせていたら、うっすらと歯の”へり”が指に触ったのである。唇を押し下げて見てみたところ、下の右の前歯がほんの少し、歯茎を割って出てこようとしていた。そうかこうやって歯が揃ってくるのか、と少し感動した。
それだけではない。排泄の話で恐縮だが(赤ん坊の話だとどうしてもこれを避けられない)、便の様子も一気に変わってきた。すでに排便の回数は一日1回程度になってきていたが、今日は過去最高粘度のしっかりした便が出た。出したあと、感触に驚いたのかマメ氏が目を丸く、口を四角くしてこちらを見ていたくらいだ。最近では、おならもちゃんとおならだなあという臭いがする。腸の中で消化物の残りを溜めておけるようになったためだ。
歯が生えて便も固まってきた……となるとこれはいよいよ離乳食開始の機運である。ひとまずは、今週中に10倍がゆを舐めさせるところからスタートしてみようと思う。
首が座り、ものを掴めるようになり、排泄のリズムが整い、歯が生え出し、寝返りを打つようになり、腰が座り……。こうやって少しずつ、赤ん坊は一通りのことを自分ひとりでできるようになっていくのだ。その過程をすべて見ることができると思うと、赤ん坊の世話とはやはり面白いプロジェクトである。
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今日はマメ氏を連れて、徒歩30分くらいの場所にある保育付きコワーキングスペースに遊びに行ってみた。近所とは言えないが(バスを使っても結構不便な場所にある)、行けない距離ではないし、保育付きコワーキングってどういう感じなんだろう? ということに興味があった。
むかし都立大学に住んでいた頃、中目黒にある保育園併設の女性専用シェアオフィスを使っていたことがある。小ぶりだが広くて静かで、女性専用なのも心理的にはありがたく、今までに使ったシェアオフィスであそこが一番好きだった。代表の女性が自分のニーズをもとに作ったのだったと記憶している。
一緒にオフィスを使っているメンバーの中にはベテランの脚本家の方もいた。私が素晴らしいと思った映画の脚本を手がけた人でもあった。彼女は私にとても優しくしてくれたし興味も持ってくれて(多分)、今度お茶か食事でも行きませんか、と名刺をくれた。行きたかったのに、好きな相手だからこそ緊張して連絡できず、そうこうしているうちにシェアオフィス自体が閉鎖することになってしまって会えなくなった。今でも名刺は手元にある。たいした仕事もしていない今の自分の状態では連絡できない、と思ったまま数年経ってしまったのが寂しい。
今日行ってみたコワーキングは、住宅街の中にあるこぢんまりとしたカフェっぽいスペースだった。スタッフは保育士さんが二人。先客の親子が3組いて、子どもが皆1〜2歳なだけに賑やかだった。私が抱っこ紐で30分歩いてここにきた、と話すと大人は全員が「ええ〜嘘〜!すごい〜!」と声を上げていた。
保育士さんたちは二人ともとても優しかった。マメ氏をかわるがわる抱っこして、可愛い可愛いとニコニコ笑う。
こういう仕事をしている人たちの空気は本当に頼もしい。子どもを見る目があたたかく、危なくないように常に細かなことに注意を向けていて、動作に曖昧なところがなくてキリッとしている。出産した病院で助産師さんたちを見ていたときもそう感じていたし、うちに来てくれているシッターのCさんももちろんそうだ。彼女たちの仕草を見るだけで、私はいつもなんとも言えずホッとする。もう大丈夫だ、自分一人できりきりしていなくてもいいのだ、と思えて落ち着くのだ。
「5ヶ月か〜、じゃあもう離乳食ですね」
他のお母さんたちも気さくに話しかけてくれる。
「離乳食はね、最初より終盤より、中盤が一番大変なんですよね。いろいろ食べるようになって子どもの好みも出てきた時に、『今日も食べないかもしれないけど作らないといけない』って気持ちで料理するのが本当にしんどい」
「だからコープの離乳食は本当に神ですよね。キューブで分かれてるから一食分の用意が簡単なの。ああいうのをどんどん頼った方がいいと思う」
「うちの子はもうマックデビューしたよ。マックって”全抜き”できるんだよ。パンと肉だけにできるの。あとポテトも塩なしとかできる」
「すき家のキッズメニューのそぼろ丼もすごく良いよ!」
なるほど覚えておこう、と思う話が次々飛び出し、リアルの会話の良さを堪能。
仕事をする場所として使えるかはまだ未知数だが、こうやって保育士さんや先輩のお母さんたちと喋るのは楽しいし勉強になるからまた来てみたいと思った。
唯一の難点は音だ。児童館と同じく、こういう場所は床全体が厚いマットにでもなっていない限りかなり声が響く。小さい子たちの金切り声とその反射にマメ氏も毎度驚いている様子だが、私も聴覚過敏持ちなのでいささかつらいものがある。私は音が体全体にくるタイプなので、ノイズキャンセリングイヤホンだけだと防御しきれないところがあり、悩ましい。
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産後の女性の精神について書いた、かなり興味深い英語記事を読んだ。これまでに読んできた記事の中でもっとも私の関心に近い内容だった。
書き手はフランスの女性作家で、かつて数年だが日本の新聞社の記者をしていたこともあるらしい。その記事に出てきたほかの女性作家の名前や本のことを調べ、また新たな関心テーマを得る。取り上げられていた本の一冊は邦訳があったので今度読んでみることにした。