前進

mikipond
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マメ氏が矯正ヘルメットをつけて二週間が経った。定期検査のため、午後はマメ氏を連れて頭の形外来へ行く。ヘルメットによるトラブルがないことを医者に確認してもらうとともに、頭部周りの数値を再計測して、治療前からの変化をみるのだ。

以前から書いているように、変化はすでに感じている。もっとも気になっていた後頭部右側のぺっちゃんこぶりがだいぶ緩和され、今ではほとんど見た目普通の丸い頭部になっているのだ。まだやや右向きの楕円だし、マメ氏と一緒に鏡の前に立つと額や頬骨の角度に左右差を感じるものの、一見しておかしいと思われるレベルではなさそうである。これが検査結果にどの程度反映されるか、期待半分不安半分といったところだった。

頭部の計測の仕方は、ヘルメットを作ったときと同じ。まずは頭にストッキング素材の帽子を被せられ、看護師さんがメジャーを当てて各数値を手動計測する。マメ氏は髪の毛が多くて長いため、帽子に毛を詰め込む段階で結構手間取り、不快で泣いていてちょっとかわいそうだった。

次は半裸にむかれ、ストッキング帽子を被った状態で3Dカメラによる撮影を受ける。今回も、偉大なる「シナぷしゅ」のおかげでマメ氏はいたっておとなしく座っていた。

3Dカメラの撮影データがあがってくるのは少し先の話らしいが、手動計測の結果については看護師さんがすぐに共有してくれた。

「正確な数値は撮影データが上がってこないとわからないんですけど、メジャーで測った数字はこれだけ変わっています。順調だと思いますよ」

最初に計測したときの数値は、「斜頭:重症(最重症に近いくらい)」「短頭(絶壁):軽症」という判定結果になる内容だった。それがなんと、この二週間で「斜頭:中程度」「短頭:正常」になっていたのである。よかった……。

マメ氏の斜頭が加速したのは、寝ている間に側頭部をマット(や枕)に激しく叩きつける動作を延々繰り返すからだった。赤ん坊は成長過程で首を左右に激しく振る時期があるのだが、マメ氏の場合は向き癖のせいでこれが右方向に固定され、一晩に何十回となく全力で右向きに頭を振るようになっていたのである。勢いがすごいものだから叩きつけ方もかなりのもので、バンバン音がしそうなくらいだった。そりゃこれだけ顔の右側を小刻みに圧迫していたら真っ平にもなる。この動作がヘルメットのおかげで無効化され、むしろ頭を丸くする方向にはたらいたのだろう。

治療を始める前、頭蓋骨の矯正ってどうなんだろうな……とかなり悩んだものだが(専門家の間でも現時点では意見が分かれる)、今のところ変なことにはなっていないし、真冬に始めたおかげで肌トラブルもまったくなく、現時点ではやってよかったと思う。この分なら春までには充分良い状態に至るんじゃないだろうか。

一方で、マメ氏は最近もまた遊び飲みが激しい。特に朝と午前中の授乳の際は、機嫌がいいせいでむしろあまり飲まない。授乳枕の上でひたすらニヤニヤしながら私を見ていたり、少し乳を加えてもすぐに離してまた私の顔を見てしまったり、哺乳瓶を咥えさせてもあちこちを向いて集中しないなど、結構授乳に手間がかかる。私を見つめて笑っているときなど猛烈に可愛いが、しかし大変。まあでもこれも成長の証だ。

引き続き海外のブログなどを延々見ている。韓国のワーママの書いた新生児育児の記録を読んでいたら、「赤ん坊を前にすると、自分が一匹の獣であることを実感する」というようなくだりがあり、皆同じことを考えるものだなあと思った。

私も産む直前から今に至るまで、獣としての自分の感覚が強くなりすぎて、身体の選択を理屈で抑え込めない(「だから何?」となってしまう)瞬間が多々あった。まあ今までが抑え込みすぎていたのだろう。

@mikipond
まめとき日記(豆と未樹の日々の記録)/宗岡(小池)未樹です。23年8月に生まれた子ども・マメ氏との日々のことをひっそり書いていきます。