普通に、すごく、忙しかった。人一人では出しえない速度で数百キロの道のりを往復して、文明の力を感じた。
唐突だが、散歩が好きだ。遠出をしたり、観光地を歩いたりするのではなく、家の周りの決まったコースを歩くような散歩だ。
決まった道を歩く散歩には、発見する楽しさがある。
まず、周囲から与えられるタイプの発見がある。たとえば、花を見て季節の移ろいを見つけたり、人の変化を見つけたりというような発見だ。慣れた道であればあるほど、細かい変化に気づくことができて面白い。
しかし、本当に面白い(と思う)のは、衝動的に見つけるタイプの発見だ。たとえば、首を90度傾けたまま歩いてみると、不思議な違和感があって本当に面白い。
無意味に近い、平坦なルーチンが、子どもの頃のように遊びを創意することを思い出させてくれる。
書き記しておいてなんだが、あまり人に勧めたりするほど面白い趣味ではない自覚がある。なので、強く勧めたりはしないが、健康のため、音声コンテンツを消化する時間のためにでも歩いてみてはいかがだろうか。