2年間アルバイトしていた職場から転職する運びとなった。
その職場のことをAと呼ぶ。
Aは立ち上げから携わっていて、お店の改装とか必要な物を集めたり作ったりしてきて、ようやく色んなことが分かって、自分も能力が付いてきた矢先の転職なのだ。
普通だったらこれからもっと楽しくなると思うのだけれど、私のピークは昨年で終わり、日に日にモチベーションが下がるだけだった。
一番の問題はオーナーとの関係性である。
詳しく書く気は無いが、Aの従業員が増えないのは、オーナーの性格が原因の大部分を占めていると思っている。
また、私の仕事は技術職で、知識と経験がものを言う。一日の中で、技術向上のためにどれだけ考えていられたか、そんな厳しい世界なのである。
私は仕事を実務で覚えるタイプで、それ以外は何も考える必要はないと思っていて、実務やって必要だと思ったら仕事時間以外も考えるというスタイルを持っていた。
なぜなら、生まれながらの器用貧乏で、1回説明受ければなんとかなるし、業務の時間内だけで大体できるようになっちゃうので。
オーナーはずっと個人の厳しい世界でやってきた方なので、そんな私は別の人間に見えたらしい。
技術面を任せてくれることは無かった。
だから、わたしは別の仕事で技術を上げるしか、方法はなかった。だから個人の仕事を請けながら、Aでアルバイトという形を2年間続けた。
個人なので、買い叩かれる。
体調面はボロボロだったし、移動だけで3時間取られ、実務は30分もない。成果報酬。
その時は自覚していなかったけど、ご飯も食べず眠れなかった。異常に気づけなかった。
何も食べず睡眠時間3時間でAにアルバイトへ行くなんて事もしばしばで
全ての仕事を時給にしたらいくらなんだろう。
頭に過ぎるこの疑問を見ない振りして
それでも続けていたのだけれど、ある日オーナーとデカめに揉めた。
暴言によって、何度も心を破壊されては修復してきたのだけれど、その時は修復不可能だった。
自分がどこにいるかも分からなくなった。
ただ、友人とLINEのやりとりをしていたから、なんとか正気は保てて
「よし。縁を切ろう。」
一番近い縁切り神社へ向かった。
お祈りを捧げても、ぐるぐると揉め事のことが頭によぎる。また帰り道が分からなくなった。
普段は地図さえあれば迷わないのだが、地図の見方が分からなくて同じところをずっと歩いていた。
適当に歩いていたら、大きな鳥居の神社を見つけた。美しい名前の神社だった。
誘われるように入っていって、ゆっくり参拝し、帰ろうと鳥居を出た。
なんと神社を出てすぐ横に駅の入口があったのだ。
これは神様が助けてくれた、そう思うしか他ならない。
それから、やるべきことが浮かんできて、心療内科へ通い、仕事を減らし、色んな薬を処方され、本当にやりたい習い事を始めた。ご飯を食べれるようになり、まあまあ眠れるようにもなり、まともな生活を送れるようになった。
あと1年間は頑張れそうだと思っていたけど
ご縁があって、トントンと転職先が決まってしまった。
決まるときって、本当に一瞬。
何せ、正社員。
そして、すぐに技術のほうを任せてくれるそうで。
2年間、無駄な時間、かけなくても良いお金をかけてきたのかもしれないと思っていたけど、今はそんなこともないのでは無いか、と考え直している。
この先も辛い事はあると思うけど、この2年間に比べれば大抵の事は耐えられる気がする。