3連休の最終日、昨夜遅くに友人の住む名古屋から帰ってきて、穏やかに晴れた祝日。
朝からお風呂に入って軽く掃除をして、バレンタイン用のお菓子を焼く。しかし2種類のフロランタンを焼こうとしていたことをすっかり失念していて計算が狂い、恋人が来てくれた時点で2種類目が全然できあがっていないという失態。ほんとはラッピングとかももっとちゃんとしたかったのに、なんなら洗い物とかやってくれてしまってめちゃくちゃ日常な感じとなってしまい、うう〜バレンタイン…となった。すまねえ…。
焼き上がるのを待つ間、なんとなくキッチンでいちゃいちゃとする。恋人、世界一えろいなあと思う。
恋人が今日じゃなくてもいいけど映画「PERFECT DAYS」を観に行きたいと言って、私も前から観たいと思いつつあ〜これは結局見逃すパターンかなあ…とやや諦めていたところだったため嬉しく賛成。調べると夕方の時間帯にいくつか観られるところがありそうで、お菓子が完成したらでかけようか、でも今日は普通にごはんでもいいなあ、どうしようかね、とぐだぐだ話す。
ようやく出来上がったお菓子を一緒に食べ(今までで一番もらって嬉しいバレンタインかも…と言ってもらった、まあ、誇張でも嬉しいよ)、持ち帰ってもらうぶんを包み、時刻は映画の開始20分前で、いよいよどうしようかとなる。急いで向かって間に合うかどうか微妙なライン。
こういう時どこまで自分のいつもの感覚でこうしよう!と言ったものか、相手の意向を伺うかの感覚はまだ掴みきれていないなーと思う。探り探りだ、そのうち互いに自然なラインが分かってこなれてくるんだろう。(あるいはそうでないとしたら、どこかで何かがきつくなって別れていくのかもしれない)
結局、やっぱりこれで見逃したらきっと悲しいから頑張って行ってみよう、となり、彼がタクシーを呼んでくれた。スムーズにいけばぎりぎり予告編の間に滑りこめるかも、後部座席でぼそぼそと祈り合う。気は焦るけれど車窓に夕暮れの神戸の街がきれいだった。
開始時刻とほぼ同時に映画館の前にタクシーが停車、ありがとう運転手さん…!と思うも、カードのタッチ決済がうまくいかず最後にハラハラした。車を降りたらビルの光が眩しい、ふたりで走って館内へ。
(予告編タイムを加味すれば)思ったより少し余裕があったため、食料を調達する。実はふたりともちゃんと昼食を食べておらず、映画は21時近くまであったため、できれば何か買って入りたいねと話していたのだった。はらぺこらしい彼が珍しくフライドポテトなんて注文し支払いを済ませたものの、何やらモノが出される気配がない。多分これから揚げるかチンするかしている様子で、店員さんもどうにももたもたした動き。ま、まじか〜〜。ここまで来て自分たちの判断ミスで遅れるの、笑うしかなさすぎてじりじりと笑う。あー。あー、開始から10分経ちましたね…。あはは…。
悲しみに無口になりつつも出来上がったポテトを受け取ってばたばたと入場すれば、案内されたスクリーンのドアがまだ開いていて、顔を見合わせ滑り込む。指定の席についたとほぼ同時に、劇場内の明かりがすっと落ちた。ものの数秒で映画が始まる。
役所広司演じるトイレ清掃員の男の生活に頷いたりふふっと笑ったりしながら、音を立てないようにこそこそとつついたポテトは、その場で調理してくれただけあって妙に美味しかった。間に合ったからすべてに感謝できる。神様ありがとう。店員さん、タクシー運転手さん、みんなありがとう。
映画館を出て、ひとけの少ない道を手をつないで歩く。観れてよかったなあ、ね、いい映画だったね。ていうかなんか、タクシーに乗ったところからもう映画の中みたいじゃなかったですか?ほんまやね、出来すぎてたよね、あと1分遅れてたら最初のシーン見逃してたし、ほんと、演出みたいなタイミングだったよね。
ご飯一緒に食べたい気分だねーと話しつつ、明日は仕事だから私の最寄駅でちゃんと別れた。次に会うのは土曜日、なぜか東京で集合の予定で、じゃあまた東京でね、なんか変な感じだね、と笑って手を振る。
少しして届いたLINEに「今日は映画にも負けないパーフェクトなデイだったねえ」とあり、わはは、となった。そうだったかもね。