中学の担任だった熊谷先生のことを最近良く思い出す。
ある日の学級活動で、「今日は参加者としてみんなの議論の輪に入りなさい」と言われた。ずっと学級委員だった私は、いつものように司会をするつもり満々だったので、たぶんあからさまに不服な表情をしたと思う。
「司会するだけがリーダーじゃないよ。今日は目立つ肩書はないけど、中から話を盛り上げるのもリーダーだよ。やってごらん」と先生は言った。仕方なーく、円形に並べられた30脚の椅子の真ん中に、どかっと座った覚えがある。
そのときのテーマは忘れた。でも覚えているのは、議論に参加しない女子、司会を遮って意味不明なことを叫んで大笑いする男子、手を焼く司会、手元に集中する書記、発言したそうだけど手を挙げられない女子、何かに不満そうな男子。その中で、議論をちゃんと終えるために私はどう振る舞うべきか一生懸命考えた気がする。
そのときのことを、ふと様々なミーティングで思い出す。役職は持たないけど誰かの発信に自然に反応する人や、皆の前で話す人をしっかり見ながら頷く人を見ると、熊谷先生が言いたかったことがわかる気がする。