母方の祖母にとって私は待望の初孫。
絶対男の子だと思って鎧兜と鯉のぼりを買う気マンマンでいた。
しかし!産まれてみたら女の子でたいそう慌てたと聞いている。
そんな祖母が私に送ってくれたのは、きっと当時は高かったであろう、吉徳大光の木目込み人形で作られた七段飾りのお雛様だった。
毎年、見るのを楽しみにして飾り付けをしていたのを覚えている。
私が実家を出る時、持っていきたかったけど家が狭く、それは叶わなかった。
そのまま実家に置いておいた雛人形。
いつかきっと持っていこうと思っていたのに…。
時は経ち、実家はゴミ屋敷に変貌していた。
その為、お雛様もそのままお陀仏に…。
実家をそんな状態にした父親には怒りしかない。
私が大切にしていた雛人形が無くなってしまって、きっと悲しいだろうと思った相方が代わりに大好きなシャチのぬいぐるみを買ってくれた。
その気持ちが嬉しかった。
毎年、ひな祭りの季節になると私は祖母と祖母がくれたお雛様を思い出す。
きっとこれからも変わらないんだろうな。