「しずかなインターネット」を見かけて、これは、自分に合っているのではないかとなんとなく思う。でも何を書く場にしたらよいのかイメージがまとまらなくてしばらく置いておくことになった。書くべきことというよりも、使い分けのもんだいで、ほかの(すでに開設済みの)スペースに書けばいいのではないかというぎもんを何度か問い直した結果、しずかな書き方で書こうということでなっとくして、このタイトルができた。以前書いていた日記のようなものを、以前とは違うように書いてみたいと思った。しずかに。
いちばん最初にインターネットをはじめたころ、どこかのホームページで見つけた同年代の(中学生の)メール友達と何度かたあいのないやりとりをした。オーストラリアに住んでいる彼女は明るい文面を返してくれたが自分のほうはすこし暗くて、ちょっと心配されたような覚えがある。話の内容がというよりは書き方が、だったと思う。暗く書きたかったわけではないのにそうなった。もしかしたら、そのときからもう、しずかに書きたかったのかもしれない。
しずかな書き方で書くことは、中学生が何の気なしにできるほど簡単なことではなさそうだった。気持ちの振れ幅を少なく一定に保っていたほうがいいし、そうしないほうが楽しいことが文章の中にも外にもたくさんある。でも結局自分には結果がよいような気がしている。それが「自分に合っているのではないか」ということだった。老練な魔法使いが自らの魔力を制御して普段は周囲にあまり見せないようにする、みたいなイメージかもしれない。老練なんていうとおこられることになるのだが。
朝からつよい雨が降ったようだけど気付かないでねむっているうちにおさまった。部屋のなかにいるかぎり、よわい雨なら雪の日みたいにしずかな感じがする。このあいだ行った上野のモネ展に、草原全体に雨が舞っている小さな絵があった。明るくて、風があってもしずかな雨のように見えた。モネの絵のなかはだいたいいつもしずかで、会場はいつもしずかじゃなかった。