夢を見た。身近な人が皆レズビアンだった。
でもその人たちがレズビアンかどうかは正確には分からないから、女性が女性に惹かれることが、「当たり前に存在している・可視化されている」世界線の夢、と言えばいいのかな。
同性に惹かれることを、周りを気にせず口に出してもいい世界。女性に対して女性が、欲望も、後悔も、特別な感情も、いだいていい世界。
自分がレズビアンだと気付く、大学生だったあの頃。男が欲しい、合コン行ってくる、ヤった・ヤってない、そんな風に大声で話していたあの子たち。今日の夢の中では、異性が集う場所に嬉々として出掛けていくのではなく、女性が接客してくれるお店に飲みに行こうと話していた。恋人がいなかったらきっと一緒に行っていただろうから安心した気持ちで、そのお店に向かうあの子たちに手を振り送り出した(夢でね)。
そしてまたあの人が出てきた。かつて初恋をした先輩。もう縁を切って長いこと経つのに。こんなふうに何度でも私の夢に登場するのは、私が一方的にさよならをした(薄々気づいてはいたものの私のカミングアウト後、あの人が本来持っていた差別心が剥き出しの発言が飛び出てきて一気に嫌気がさした)からもしれないし、あのときの発言のまずさに、今さらでも気付いて後悔する瞬間があってほしいと思っているからかもしれない。とにかく私の記憶から消えることなく、しつこく夢に登場する。そういう気持ちって反映されるもので、慕われていた後輩にとつぜん関係を断ち切られたことを、感情的に受け止めていたらしい姿を見ることができた(夢でね)。
実際はレズビアンだったらしい後輩が自分の人生から居なくなったところで何も感じなかっただろうし、実際、何も変わっていないと思う。
中学生の頃あの人は、友達と「レズ無理だわ、さすがに。気持ち悪ィーわ」と渡り廊下で笑っていた。今となっては、どこを好きになったのかどこに惹かれたのかさっぱり分からないけれど、当時私はその先輩にしっかり恋に落ちていて、私自身が「気持ち悪いと言っていい(と世間からまだ思われている)対象のレズ」であることを自覚するなんて、本当に難しかった。
とにかくカミングアウトをしたことで「上手く使える都合のいいお人形さん」になりたくなくて自分から離れたわけだけど、でも今日の夢の中では当時の私の気持ちを無視されることなく、受け止めてもらった上で後悔してくれているという、それこそ都合のいい夢だった。
男性も登場した。でも現実と同じで私の人生にはあまり関係がなく、同性に対して特別な感情を抱くことが当たり前に「そこに在る」描かれ方だった。この記憶は徐々に薄れていくのだろう。
生まれ持った性的指向のままで誰かに特別な感情を抱くことを誰も気にしない世界線というのは息がしやすい。夢で知った。夢でしか知り得ることができない不思議な体験だった。