薄い財布たち/abrAsusとHitoe FoldとEDISON LAB FINALE 2, FINALE UT

MIRO
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公開:2025/3/19

薄い財布が好きだ。必要最小限のカードと現金。それだけ持ってあるければいい。とくに最近はQR決済、タッチ決済ともにスマートフォンで決済できる場面もかなり増えたし、クレカも含めるとほとんど現金はつかわなくなってきた。もういまや現金を取り出す必要があるのなんて、自宅近所の地元町中華と頑なにカード決済を導入しない格安スーパーくらいである。

さらに店舗のポイントカードの類もだいたいスマホにおさまるようになって、持ち歩かなければいけないカードもだいぶ減った。常に携帯しなければいけないものって、いまはもう意外と少ないものだ。となったら、財布自体は本当にミニマルでよくて、スマホにどうしても入らないもの、どうしてもスマホで処理できなかったときのバックアップ、くらいのものが入れられればいいのです。

で、そんな「薄い、ミニマルな財布」をけっこういろいろ使ったので、レビューをまとめてみることにしました。

abrAsus「薄い財布」

というわけでミニマル財布の定番中の定番、abrAsusの「薄い財布」から。これ、ほんとうによく出来ていて薄くてポケットに入れていても邪魔にならないし、使い勝手も良くていい財布なんだよねえ。

途中でabrAsusのダンボーモデルをもらって乗り換えたりもしつつ、11年くらい使い倒していました。よいところはその機能性。本当によくできた構造をしていて、何度触っても惚れ惚れします。コインケースもよくできていて、収納力も意外とある。たとえば地味なところでは、カード入れと反対側のフラップ、「ふた」の部分。

ここは公式には鍵を入れたりできる、とありますが、私はカード型のトラッカー(紛失防止タグ)を仕込んでました。Ankerのは通常のクレジットカードの厚みより少し厚いんですが、それでも収まってしまうのでえらい…!

abrAsus「薄い財布」

  • よいところ

    • 機能性。とても使いやすい。コインはコインケースだけ開けば使えるし、札やレシートを出し入れするのも無理がない。

    • 収納力。カード入れ以外の所にも意外と入る。フラップ部や札入れ部にもそこそこものを入れられる。「薄さ」はそのぶん犠牲になるけれども、入れることができる、のはおおきい。

  • いまいちなところ

    • 独特な外観・フォルム。コインケース部が独立して外から見える形状はこの「薄い財布」独自のフォルム。これがいいといえばいいんだけど、コインケースの膨らみやがホックの部分が使い込むと跡になったり汚れます。

    • 定番すぎる。定番すぎてみんな持ってる(笑)

SYRINX「Hitoe Fold」

abrAsusの「薄い財布」も10年以上使ったので、そろそろ別の財布も使ってみたいなー、と、ここ4ヶ月ほどはHitoe Foldに浮気しております。これもミニマル財布の定番、鉄板ですね!

Hitoe Foldは「Amazonで売ってない」(あと店頭でも見かけない)ので薄い財布界では定番でよく名前を見るわりには触れる機会が少ない気がします。触ってみたいひとは公式サイト(SYRINX)でお試し品を送ってもらうことができます。返却すればデポジットは戻ってきます。

Hitoe Foldも構造はすごくよくできていて、収納しているカードを財布のロック支持部材として使うというアイデアや、コインケースの配置など実に計算された仕組みをもっています。一方、ワンアクションで開閉できるとはいえabrAsus「薄い財布」と比べてとっさの使い勝手にはちょっと負けるかなという感じがあります。コインケースもabrAsusのほうが使いやすく、Hitoe Foldには小銭を入れるときに若干まごつくことがあります。

ただ、シンプルかつすっきりした外観はマジでかっこいいし、abrAsusの財布と比べてもさらに一回り小さいフォルムはミニマル財布としてはかなりポイントが高いです。重ねてみても、ちゃんとひとまわり小さいことがわかりますね!あと、ここ最近はとくに財布を開く必要があるシチュエーションが本当に減ったので、ミニマルかつ快適に使えるバランスとして実に良い感じです。

SYRINX「Hitoe Fold - Liscio -」

  • よいところ

    • すっきりとした外観。特殊なフォルムのないすっきりとした、財布然とした財布であり、かつミニマル。素敵です。

    • コンパクト。今回レビューで挙げた4製品の中で最も小さいです。札入れ・小銭入れ・カード入れ全部入りでここまで小さく薄くできるのか、という感覚があります。

    • ワンアクションの開閉機構。よく考えられた機構で、気持ちよく開閉できます

  • いまいちなところ

    • とっさの出し入れ。小さいので札を入れるのにサイズ的な余裕があまりなく、とっさの素早い出し入れできれいに入れるのに手間取ることが。コインケースも素早く出し入れするのにちょっと使いにくさを感じます。

    • 収納力。カードは6枚収納できますが、6枚以上はきびしい。abrAsusであったような「余分な余裕」はありません。コインケースも規定以上は入れにくいです。このあたり余裕を切り詰めてミニマルに振っている感じがあるので、そのストイックさが良いといえば良いのですが。

EDISON LAB「FINALE 2」「FINALE UT」

こういう薄い財布はやっぱりabrAsusとHitoe Foldが鉄板だよねー、って思いながらAmazonをぶらついていたら、ちょっと面白そうな構造の財布がみつかりました。EDISON LABという会社が薄い財布をラインナップしているようです。EDISON LAB(エジソンラボ)というのは、発明家であり音楽家である小川コータ氏が主宰している会社で、この人はスマホのフリック入力を発明した……って、え、フリック入力つくったのって増井俊之氏では??誰ですかあなた??(このあたりはちゃんと突っ込むとそれだけで一記事になりそう…)

  • FINALE 2

「カードが入る領域」と「コインが入る領域」が重ならないようにする…という、薄い財布系の基本構造はそのまま踏襲しつつ、カード入れ部分を皮の伸びで押さえるのではなく、ゴムというか樹脂バンドの伸縮で支える構造になっています。この部分は「へー!」という感じ。

また、コインケースはがま口になっており開け閉めしやすくなっています。財布をたたんだ状態でもがま口のタブが見えており、ちょっと独特なフォルム。「薄い財布」やHitoe Foldでは皮革が同じ場所になるべく重ならないよう、より薄く、より薄くという構造をしていますがFINALE 2はそこまで極限の薄さを求めるようなストイックさはありません。ところどころ工夫した結果薄くコンパクトにまとまる財布、というくらいのバランス感でしょうか。

ただ実際使ってみると、ワンポイントであるこの「がま口コインケース」。ズボンのお尻ポケットからの出し入れのときにがま口の出っ張りが引っかかることがあったり、その肝心のがま口の小銭入れ、両脇に壁がないので開けると小銭が滑り落ちてしまうことがあったりと財布の使い勝手の足を引っ張っちゃってる感じがしました。ゴムで支えるカード入れはたいへんよかったです。

EDISON LAB「FINALE 2」

  • よいところ

    • 安い。Amazon販売価格で5000円〜8000円くらい

    • カードの出し入れがしやすい。カード入れ部分はゴムで押さえる構造になっており、ここが柔軟に広がるのでカードの出し入れがしやすく、カード表面を擦る感じもないので安心

  • いまいちなところ

    • コインケースの使い勝手がいまひとつ。ワンポイントであるコインケースのがま口が財布の出し入れ時に引っかかる。またコインを入れる際にこぼれ落ちないかけっこう気をつかう

    • ストイックさが足りない。工夫されてるし全般的に普通の財布に比べて薄いのではあるが、薄さを追求したストイックさ・機能美のようなところは少し物足りない

FINALE UT

FINALE 2はちょっと合わなかったなー、と思っていたら同じEDISON LABから次に出たのがこの財布、FINALE UT。ん?FINALEって「これが人生最後の財布」というキャッチコピーだったような気がするのですが…?新作…?

使ってみると、これがまたなかなかストイックな構造でそそられます。カード入れはFINALE 2のときに大変良かったゴムの支えを踏襲しつつ、カードの出し入れ方向を外向き(!)に。財布自体を開かなくともカードを取り出せるようになっています。また、コインケースは蓋が撤廃され(!)財布を開くことでじゃらっと小銭受けのでっぱり(カード入れ部分)まで転がってきて取り出せるというギミックに。なかなかギミック感溢れるつくりです。

ギミックがなんというか本当にいろいろ凝っているので文章ではちょっと伝わりにくい。ショート動画を見ていただいたほうがはやいです。

また素材も普通の皮だけでなく、より薄くより軽い紙(レザーペーパー)製も選べたりなどそういうところもおもしろい。…と思って買ってしばらく使ってみたのですが…

それぞれのギミックがきちんと実用の域でまとまっていないというか、実際に普段使いするとちょっとじゃじゃ馬だなというのが正直な感想でした。たとえば…

コインについては実際にコンビニのレジ前で縦持ちでじゃらっと小銭を出して…という動作をするには少し緊張する。上下の向きを間違えられないわりに外観で上下の区別があまりないので開く方向に迷う

小銭と札を出したあと釣り札やレシートを入れようとするとけっこう繊細な動作を求められる(横に向けると小銭が落ちちゃうので、札入れにモノをいれるときに縦持ちのまま出し入れする必要がある)

財布半開きでカードを出し入れできる、という外向きのカード入れも、ケツポケットに財布を入れて歩き回っていると振動でカードが飛び出しそうになっていたりして心許ない

閉じるだけでロックされる、という機構もロックされてんだかされてないんだかわからない状態で、いちいち確認しないと不安、確認しようと軽く開けるとそれでロックが外れて開いちゃったりする

という感じでした。うーん…

EDISON LAB「FINALE UT」

  • よいところ

    • 安い。Amazon販売価格で6500円〜8000円くらい

    • カードの出し入れがしやすい。カード入れ部分はゴムで押さえる構造になっており、ここが柔軟に広がるのでカードの出し入れがしやすく、カード表面を擦る感じもないので安心

    • ギミック感溢れており、普通の財布とここが違う!というポイントがいっぱいある。そういうのが好きな人にはたいへん刺さる

  • いまいちなところ

    • 各ギミックの使い勝手がいまいち。慣れれば…という声もあるが、abrAsusの薄い財布やHitoe Foldの使い勝手を知っていると、けっこう「頑張って使う」気持ちが必要になる。

まとめ

というわけで薄いミニマル財布4種のレビューでした。つぎに財布を変えるときは、もうほぼ全てスマホで完結してしまって本当に「財布」という存在がほとんど不要になってしまうかもしれないなあ、という気持ちもあります。

ほかにも薄いミニマル財布でいい商品があったらぜひ教えてください。

@miro
おもしろいものをつくりたい