
そのころ、残価設定ローンというやつで、乗っているくるまを返す日が近づいていた。もうすぐ次の車に買い換えないとな、どうしよっかな、そうだなつぎは電気自動車がいいな、なんて思いながら候補のくるまをああでもないこうでもない、ってえらんでいた。
それともうひとつ、業者間オークションをつかってくるまを買うのを一度やってみたいな、ってのも思っていた。お店の保証とかそういうのなんにもないけど、まあ、理屈とかじゃなくて、一度やってみたかったんだからしょうがない。興味あったんだもの。
中古車販売店は、じぶんたちが下取ったくるまだけを販売しているわけではないのです。売りにくる人のくるまが、じぶんたちの客層に合わないかもしれないし、くるまを買い取りに出してくれる人がそうそう都合良くあらわれるわけでもないし。
なので、くるまを扱う業者の間で中古車を融通しあう、業者だけが参加できる業者間オークションというものがある。プロが参加する、プロだけのためのくるま市場。個人・素人は参加お断りってやつですね。
ただ、そんな業者間オークションにも抜け道があって。個人が、業者の名前を借りてこっそり参加する、オークション代行業者ってやつ。まあ、需要があるところには供給があるといいますか。
なので、どうしよっかな、次はなんのくるまにしようかな、って言いながら、オークション代行業者に申し込みをして、業者間オークションに出品されているくるまたちを眺めていたのでした。
まあ、ここまで書けば表題の状況がどういうことだったのかあらかた想像はつくかとおもいます。
つぎはなんのくるまにしようかな、って言いながら、いくつかくるまの候補を絞りながら、毎日オークションの出品車を眺めていたのです。眺めていた、といっても、わかるのは車の名前と、写真が数枚。それと、出品票という紙切れ一枚だけ。出品票には、そのくるまの状況がカード一枚にまとめて書かれています。(どんなのか知りたいひとは「オークション 出品票」でぐぐってみよう)
あるとき、これなら買ってもいいかな?って思えるくるまが出品されてきました。まだまだ買うのはあとでもいいし、まだまだしばらくは悩むつもりだったけど、オークションのながれはよく知らなかったし、いざ、本当にこれがほしいぞ!ってときにとまどうのもいやだ。そんなきもちで、ちょっと練習してみたくなったのです。
なので、相場からかんがえると、ぜったいこれは落札できないぞ、と思える安値で、ためしに、ほんとうにおためしで、ネットで入札ボタンをポチっとしてみたのです。
翌日。おめでとうございます!落札しました!というメールがとどきました。いや、おめでとうございますじゃないし。え、なんで。
あらためて出品票をよくみてみると。どうやら、自分が落札したのは、これなら買ってもいいかなっておもっていたモデルではなく、あまり人気のないモデルだったのでした。人気がないモデルは、人気がないだけにほとんど中古でも流通してなくて、あまり見かけなかっただけにその違いを完全に見落としていたのです…
このオークション、個人間オークションみたいなぬるいものではありません。業者間オークションですから、落札したら購入する義務があります。義務。うぎゃあ、っていいながら半べそかいて代金を振り込んだら、2日後には積載車に乗ってくるまが自宅にお届けされてきました。お届け…
まあ最終的には乗っててとても気に入ったので結果オーライってやつなんですが、車検もなくてナンバーすらついていなかったので、仮ナンバーとるところから自分でやらなきゃいけないし、ディーラーに車検整備持ち込もうとおもったら名義変更しないとディーラーでは預かれないっていわれるし、名義変更するためには車検を通さないといけないし(Ohデッドロック!)、で、結局車検整備も車検通すのもぜんぶぜんぶじぶんでやることになりました。たいへんだった…。
まあそんなわけで、結論としては、業者間オークション、とてもたのしかったのでまたやりたいとおもっています。