壊れる

mirushika
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フェリーニの名作『道』があまりにもよかったのでその話をしたら、2024年になってその映画の話をするの、と笑われた。笑ったあとちゃんと聞いてくれて、意見交換もした。日常の些細なことがらや、そこから芽生える感情や思考、ちょっとした気づきなど。それは古い映画の感想だけじゃなく、コンビニで今日からおでんが始まったこととか。外界から受ける種々の刺激によって湧き起こり、ちりちりと静電気みたいに体内に弾ける。思考というのか感情の欠片というのか、こういう些細なことを話せる関係が(リアルでもネットでも)あるのって、この世界でいう幸せのひとつだと思う。そういうものを外に出さないでいると、体内で澱のように溜まっていく。溜まっていくうちに、ほんの少しずつ、人は壊れていくんだと思う。