映画『PERFECT DAYS』の感想

mint
·

映画『PERFECT DAYS』を観ました。なんとなく前から見たいとは思っていたのですが、今日急に思い立ちみてきました。昨年の12月に公開されたようですが、まだ結構他にも鑑賞する方がいました。

ネタバレ含みますので、観てない方は注意です。

私は観ながら、うんうん平山さんの生活はなんだかこざっぱりしていて、シンプルなのは良いなとは思いました。でもどちらかと言えば、羨ましいというより、こういうふうに生きていて、なんで生きてるんだろうという問いを考えることは無いのかあと感じました。私は平山さんより雑多で忙しい毎日を送っていますが、それでも毎日のように、なんで生きてるんだろうと考えてしまうので。これよりずっとかなりシンプルな生活、毎日同じ繰り返しの生活を送っていたら、より考えてしまいそうで。あるいは、シンプルな生活をシンプルに楽しんでいるから、そんな問いなんて全く思い浮かびもしないのでしょうか。

主人公平山は、生活の中でよく笑みを浮かべます。満足気だったり、面白げにだったり、楽しげな笑みです。外にいるときに、よく自然を見ているんですね。木陰で昼食を取りながら、木漏れ日の写真を撮ったり。あの場面、自分も大学生のとき同じようなことをしていたなあと少し思い出しました。

これは富士フィルムの写ルンですで撮った写真です。急に自己顕示欲を見せてすみません。私もああきれいだなあと見ていたなと思い出しました。その時は隣に友だちがいて、今はもうその友だちとの縁も切れていて。

そういえば、写真の現像屋の店主が柴田元幸さんに似てる、絶対そうだと思って、最後のエンドロールでは柴田元幸さんの名前が出てくるはずだと一生懸命探していました笑。見間違いではないよね、と。

話を元に戻して、なぜ生きてるんだろうという問いが思い浮かばないのかという話ですが。もう最後の平山の表情にあらわれているなあとは思いました。怒りや悲しみも湧くことがあるけれど、喜びや楽しみを感じることもあって。平山も途中で、怒ったり、何かを堪えていたりするような表情を思い浮かべるシーンがあったなあと思います。また前述のように、自然の景色に面白さや美しさのようなものを感じたり、たまに他人にも目を向けていたり。寝る前に読書に高じる姿もなんだか良いなあと思いましたし。

でも平山もお酒飲む所で見かけた人と、影絵を踏むとき呟くんですよね。「何にも変わらないって、そんなの無いじゃないですか」みたいな言葉だったと思いますが。何にも変わらないと思っているわけじゃない。何かが変わると考え、毎日過ごしている(特に仕事に励んでいる)のかなと感じました。つまり自負心があるんだなあと。何かは変わるんだという自負心。別に自分がいても何にも変わらないなんて思ってるわけじゃない。自分なりに納得する生活をして、特に仕事を手を抜かずにやって、それは何かを変えているんだと平山は思っているように感じました。

帰りにパトリシア・ハイスミスの本を探しに行って、早速買ってきました。作中で出てくる作品はありませんでしたが。

平山の生活がすごく羨ましいとも、絶対嫌だとも思いませんでした。ただただ「今度は今度、今は今」なんだなあと。そして、まあ同じことの繰り返しのようなんだけど、小さな変化はあって、それは良いことでも悪いことでもあったりする。だから怒りや悲しみを感じることもあるけれど、それと同様に楽しみや喜びを感じることもあるんだというふうに思いました。人生というものは。

観て良かったです。