何か新しいことを始めたい、と思いつきは沢山出てくるのにその後実際に動き始めないのがほとんどだ。妄想しているだけの段階が一番楽しくて、困る。ちゃんと5W1H1Cなんかを書き出して、実際に一歩進んだらきっともっと楽しいだろうに。
何か新しいことを始めたい、と思いつくのは素晴らしい。それは間違いない。思いつきから一歩を踏み出せるかどうかは、インスピレーションを得た瞬間の時の運もあるけれど(3万フィートの上空を飛ぶ飛行機の中で急にジョギングは始められない)、「これは自分ならできる」という前提的な確信の有無も大きな要素だろう。また、今は何らかの理由で出来ない事柄だったとしても、そこを何とかどうにかやりとげたいとまで思えるものだったなら、たぶんおっかなびっくりでも「何とかなる」方向を探し始めることだろう。
こういう気分になったときいつも頭によぎるのは、漫画「昴(スバル)」に登場するバレリーナ、プリシラ・ロバーツのことだ。禅スタイルで瞑想するシーン。自分の踊りの可能性を、未来のバレエを思い描き高揚する魂の描写がずっと忘れられない。
「なんだってできる人」に見える人間は大抵、なんだってできるようになるまで自分の能力を伸ばしてきた人達だ。もしくは自分の能力を封じられたり奪われたり、あるいは自ら削いだりもすることなく保ち続けてこられた人達。
翻って自分は、と思う。
なんだってできる人には程遠いが、何かできるようにはなりたい人間だ。
思いつきがあるといっても、小さくささやかな、自分自身のためのものばかりだ。見たい、聞きたい、知りたい、行きたい、作りたい、たまに役立ちたい。何一つ大それたなかみのない私の望みを叶えてくれる人は、つまるところ僕自身、自分ひとりしか居ない。誰かに託せるものでもない。
せめてひとつふたつは叶えてやりたいと思う。
(書き出し/2023-11-22 WED)