コロナでテレワークになって「子どもがいるから働くのがこんなに大変!」と啓蒙してくれる人たちがたくさんいる。
上記の記事の方と私もほぼ同世代。就職氷河期が直撃したから同級生は正社員になれた子の方が少なくて、私はと言えば色々壊れて就職どころではなかった、と割愛する。 ただ幸いにも結婚して子供を持つことができて、運よく持ち合わせていたスキルで在宅でWeb制作の仕事をすることができた。ほんとに運が良かった。
10年子どもを育てながら在宅で仕事をして、その半分以上はフルタイムでやってきた。しかも家で仕事を「させてもらっている」立場としてだ。 「本来は会社で仕事をしなきゃならないんだからね?」というプレッシャーの中でずっと仕事をしてお金をもらっていた。テレワーク前提で仕事を探せばとにかくバカみたいに安い賃金の仕事ばかりだし、転職を考えても正社員は厳しいっすね〜と言われてきた。
この春、テレワークでの苦労を新たな発見!みたいに言う人たちを、正直冷ややかな目で見ていたことは否めない。私はそんな苦労はとっくにして来た上「それは言い訳にはならない」という扱いを受けて来た。当時冷たかったあの人たち今頃どんな顔してるかなーとドス黒い感情も湧いた。
テレワークにはテレワークの伝える技術が必要だ。
テキストベースのコミュニケーションは誤解が生まれやすい。タイピングスピードが遅い人は入力コストを削減しやすいが、その場合とても乱暴な言い方に取られやすい。 テレワークでテキストでのコミュニケーションがメインになるなら「伝える」というコストを惜しんではいけない。「お願いします」と「お願いしますね」だけでも印象は違う。
例えばだけど、物事を頼むときに色々な言い方があって無意識に使いがちなその表現を受取手の顔を思い浮かべながらチョイスすべきなのだ。いまだに一言一言カロリー使って考えながら送信した内容が「失敗した〜」と思う事も多い。
「お願いします」 「おねがいします」 「お願いします!」 「お願いしま〜す」 「オネしゃーす」 「よろしく」 「よろしく〜」 「よろ」
顔文字を使えばもっとバリエーションがあると思う。 チャットの言葉遣い一つでその場の空気をちょっとずつ変えることができる。逆に言えばぶち壊す事もできる。送られてくるテキストで相手のものの考え方の傾向や、どんな仕事をする人なのかという雰囲気を感じとる力は物凄く磨かれたと思う。
テレワークは万能じゃないと思う。顔を突き合わせてのコミュニケーションが前提のマジョリティで作られて来た社会にとっては、足りないところが多いなと思う。 テレワークは会社で集まってする仕事と同じにはならない。
でも別にサボっている訳じゃないし、足りないところを工夫しながら働いて来たんだよ、ということがちょっぴり実感を伴って伝わったらいいなと思っている。
noteからお引越し : 2020年5月26日 20:08