チョ・ナムジュさん3作目だったこの本。前2作のフェミニズム作品とは違い青年向け文学のような作品だったと思う。仲良し4人組のささいな日常と複雑な感情と過去を描いていた。
多くの人が経験しているからと言って、あなたにとってはそれが悩みの種にならないからと言って、喉元を過ぎれば痛みはすぐになくなるからと言って、それがどうした、今の私は今が苦しいと言っている、今の私にとってはそれが悩みの種なんだ、今の私にとっては大切なことなんだという声を表現してくれた小説だった。
子供だというだけで未熟者扱いされたり、考えが尊重されなかったり、声が聞いてもらえなかったり、大人の正論に諭されてしまう時もある。未熟でも、無鉄砲でも、大人になったら忘れてしまうようなことでも、大人になったらバカにしてしまうようなことでも、それでもあの時の考えや決断を無かったことにはしたくない。そんな想いを言葉にして保存しているような小説だった。
人と関われば関わるほど「私」という存在が偽物になっていくような気がする。私の本当の気持ちではなく集団の中にいる私にとって最善の選択肢を選んでしまう、でも私の本当の気持ちってなんだろう?
人生にとって最高の選択肢ではなくその時にとっての最善の選択ってなんだろう?