いい天気だねと言っていたのにどんどん雲行きが怪しくなって、正門前で写真を撮る列に並んでいるうちに雨が降り出した。風が冷たい。記念写真はせっかくきれいにセットした娘の前髪がぱっくり割れて、本人は不満そうだったけど、とてもかわいいと思った。すみれの花がたくさん咲いていた。
そういえば16年前の今日、娘が生まれる前の日も花散らしの雨だった。病院へ向かう車の窓に桜の花びらがはりついていた。
娘が生まれて、泣いて笑って、寝返りうって座って這って、立って歩いてしゃべってまた泣いて、けんかして仲なおりして、また笑って、いつの間にか高校生になっていて、今日までずっと醒めない夢を見ているような、キツネに化かされているような、そんな日々がずっと続いている。