「メガバンク銀行員ぐだぐだ日記」を読んだ

miyaoka
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  • 富士銀行を経てみずほ銀行で勤務しているベテラン銀行員の話

  • みずほの大規模ATM障害の話から始まるけど、エンジニアからすると冷や汗モノだし、エンジニアではない著者の立場としては現場でわけも分からずに謝るしか無いというのもしんどい話だなと感じる

  • 35万人月もかかるシステム統合ということ自体web系エンジニアからすると異様すぎるけど、本書ではそこは本筋ではなく銀行の営業マンってこんなつらいんだなーというエピソードが聞かされる


  • 金融系の仕事に携わる以上、あまり長い時間同じところに留まって働くことは無く数年で転勤を言い渡される。そこで絶対的な権力を持つのが支店長で、異なる支店長から2連続で高評価を貰わないと出世できないという

  • まあ~~この支店長のエピソード、胸糞すぎる…。なかにはいい評価をしてくれた支店長の話も出てくるけど、初見で合わないともう徹底的に厄介者扱いをされてしまう

  • なんとなくこういうのって各地で武士団を束ねる棟梁のようなもので、強烈な家制度というものが大手企業でははびこってるんだなーという感じがした

  • それ自体はまあそれで仕事がうまく回るところはあるのだろうけど、でも結局これって身内の縄張り争いをしているばかりでぜんぜん組織全体としてユーザーのほうを向いてないじゃないかというのが気分悪くなってしまった

  • まあでもどんな企業でも組織の規模が大きくなれば内部での争いになっていくものだろうなとは思うけど、なんか仕事として向き合うところがおかしいんじゃないかという感覚になるばかりだった


  • あとはこういう本の叙述トリック的なところとして、読者は著者に寄り添った立場だから著者が受けた理不尽な仕打ちに対して思わず同情してしまうけど、後半で若手社員とのすれ違いが起きるあたりからおや?ってなる

  • 長年やってきた営業仕事に自信を持っていたけれど、ある日営業から事務へと飛ばされてしまい完全に出世の目が無くなってしまう

  • バブル期入社で氷河期世代は居なくてその下の世代が新しく入ってきているという状況。客観的にはこのバブル世代って現代感覚ではかなり無能化してそうな感じはする

  • 実際どうだか分かんないけど、語られてきた数々のエピソードはもう現代的にアウトなことばかりだし(今でも行われてるかもだけど)、それが当たり前の世代からすると今の若手の感覚とは絶対合わないだろうなーって思う

  • 理不尽に厄介者扱いされた話も組織に要らないと判断されたからなんだろうなという感じはしてくる。そうした組織においての有能・無能という価値基準のしんどさをめちゃくちゃ感じてしまった…。せめて人間的にはそういうのとは別の価値観を持てるようにしたい