友人が競馬観戦に興味を持ったので久々に東京競馬場に行って案内した

久々も久々すぎるというか、自分が競馬観てたのってウマ娘で最初にフィーチャーされたような90年代~00年代の一番競馬人口が多かった頃(ダビスタ世代)なので、それからかなり時が経っている
ディープインパクトが活躍する頃にはもう観なくなっていたと思う(サンデーサイレンス産駒が溢れてるのが面白くなかったので)
ついでにウマ娘についても紹介してその流れで90年代のライスシャワーやホクトベガ、サイレンススズカの最期のレースを見返してみたら改めて当時の衝撃がよみがえってきた
東京競馬場入場

そんなわけで日曜日。とりあえず入場開始の朝9時から行ってみたものの、事前に予約してないと行列に並ばないといけないらしい。今ってそんなことになってるんだ。全然知らなかった
第1レースからならガラガラでしょってちょっと舐めてたので、朝からこんなに並んでるの?ってちょっと驚いた(10分待ちくらいだった)

今は春のG1レースシーズンでこの先6月まで毎週G1が開催される。今週はその谷間で牡馬牝馬のG2トライアルレースになる
正直G1レースだと人多すぎて大変なのでちょうど谷間で良かった




JRAは売上3兆円だからめちゃくちゃ金持ってるなーというのがひしひしと感じられる
一般的な賭場施設と違って清潔で健全性が高い。そういうイメージをしっかり形作ってるのがすごい
人気の偏りと信頼の出来なさ

本場場の方に出る。今日は天気が良く、富士山が見える

コロナ禍でだいぶ変わったのか屋外の席が間隔広めになってしかも有料席になっていた
まあ元々席には座らず前で観戦してたけど、無料だと屋外席に座る資格も無いのかーという気持ちになった
野球やサッカーのスタジアムだと5万人くらいだけど、ナリタブライアンのときの天皇賞・秋は18万人以上入ってたから改めてすごい収容人数だ

東京開催は今週土曜から行われていて今日が2日目
まだ全然使い込まれてないので芝がとてもきれい。風に吹かれてそよいでいた

パドック
正直パドックって素人が観てもなんも分からんというか、たとえ馬に詳しい専門家がコメントしてても情報としてあんま役に立たないような気がしている

この日のレースはちょっと偏っていて、第1レースから第6レースまでずっと一番人気がオッズ1倍台になるほど人気が集中していた
オッズ1倍台のレースって自分的にはかなり敬遠したい
買って当たってもリターンは少ないし、じゃあ人気馬が来ないと見込んで他を買うか? というとやはり1倍台はかなり有力なので外しづらい

とりあえず第1レース観戦。早速ゴリゴリの人気馬が飛んで5番人気と7番人気での決着。万馬券までは行かないものの中荒れした
第2レースも1番人気が飛ぶ。やはり人気馬を信頼できない
ルメールの日

続く第3レース
https://race.netkeiba.com/race/shutuba.html?race_id=202505020203
ここでもまた1番人気のガンハンマーが1倍台なので買いづらい
しかしここから鞍上にルメールが登場
長年競馬やって無くてもさすがに分かる。「ルメールは買え」と
迷ったらルメールなので、友人にもここは買いましょうとおすすめして買わせた

第3レースが始まり最終コーナーへ
緑の帽子、ルメールの駆るガンハンマーは外目につけて4番手

内からは黄色い帽子エムティエスターテが抜け出して外からガンハンマーが追う

2頭が馬群を引き離し、残り200mでエムティエスターテが突き放す

しかし最後の最後、帳尻を合わせるようにゴール前でルメールがきっちりと差し切った。うますぎる!
結果的に人気通りの決着ではあるけど、これを捉えるのはさすがに騎手の力量だよなーと感じられる
なので今日はルメールの日だ、と確信した
家で中継を見るのではなく現場の競馬場で観戦していると、なんか今日はこういう流れだな~と感じられるところがある



実際にそのままルメールは3連勝し…(前日から合わせて5連勝)

6レースでは着外になったものの…


それ以外は連対を果たしていた
ほんと、下手な予想をせずルメールだけ買っとけばいい
(後で調べたら前日のモレイラ騎手も同等にすごかったらしいが、今日は香港遠征で不在だったらしい)
血統知識で見る予想
自分はダビスタで血統オタクになったタイプなので、予想の仕方としてとにかく毎レース全馬の5代血統表を確認している
昔は前日にPCで調べたり血統本を持ち歩く必要があったけど、今はスマホで簡単に確認できるので便利な時代になった
自分的には主に血統構成から感じられるコース適性やポテンシャルを重視していて、それにより全馬の相対的な力関係を把握する
もちろん血統がマッチしていても根本的な実力的に無理そうだったり、年齢的に上積みが感じられなかったり、ローテーション的に合わなかったり、あまりに人気が低すぎたり、過度な馬体重の増減などといったファクターがあれば外したりする
昔見ていた時代からは血統的に2,3世代も進んでいてだいぶ様変わりしているけど、それでもまだ自分の血統知識が通用するんだなーと思えた

たとえばこの第8レース、芝1400m
https://race.netkeiba.com/race/shutuba.html?race_id=202505020208
自分的には芝1400や芝1800mというのは好きなレースで、なんでかっていうとスプリント(1200m)、マイル(1600m)、中距離(2000m)といった大レースが開催されるスペシャリストの距離ではなく、その狭間の距離であるから
それが面白いのは、単に「短距離向きの血統」と言っても実際にはさらにスプリント寄りかマイル寄りかという分類があり、スプリント寄りであればマイルは長すぎるし、マイル寄りであればスプリントは速すぎる
で、1400mはスプリントほどではないがスピードが必要になる絶妙な距離。スペシャリストな距離に比べて「1400mが得意な血統」とはあまり言語化されにくいので投票者が予想しづらく、自分の確信度のわりには配当的においしいケースが多くなる感じがする
そうした観点でこのレース出走馬の血統を見比べていくと…
サンデーサイレンス系(ディープインパクト、ステイゴールド、スペシャルウィーク)
Northern Dancer 系(Storm Cat, Danzig)
Mr. Prospector系(キングカメハメハ)
大別してこの3系統が出場していた
で、これは完全に自分の肌感覚になるけど、サンデーサイレンスの系統は万能であるぶん1400のような速さには特化してないし、Storm Catは短距離向きだけどノーザンダンサー直系のズブさを感じてしまう。これがマイルだったら違うかも
で、やはり信頼できるのはMr. Prospector直系の鋭いスピード感
これに当てはまるのが以下3頭になる


キングカメハメハの子ロードカナロアを父に持つのがシンバーシアとアニトラ

そしてリオンディーズを父に持つのがメイショウピース

で、結果としてメイショウピースは大敗したものの、残りのロードカナロア産駒同士による決着となった
経験的に同じ父馬同士でのワンツーというのはパターンとしてそれなりにある感じがする
1着シンバーシアは人気通りだけど、ここで美味しいなと思えるのは2着に入った5番人気のアニトラのほう

2着でも複勝で300円つく。ここが狙い目
自分は手を広げずにシンプルに処理しやすい単勝複勝買い派(還元率的にも有利)なので、だいたい「5番人気で単勝10倍・複勝3倍」になるやや穴人気の馬というのが確度とリターンの面で大好きなところ。なのでまさにそのケースに当てはまった
これを単勝1・複勝2の割合で買えば「ローリスク・そこそこリターン」が見込める
今回アニトラは2着だったけど、これが1着になれば (単勝10x1 +複勝3x2) / 3で5.3倍程度のリターンになるし、1着じゃなくても (複勝3x2 / 3) で2倍のリターンになる
戦績評価の盲点
続いて血統評価的にうまく行ったのは第10レース、ダート1600mのオアシスS
https://race.netkeiba.com/race/shutuba.html?race_id=202505020210

友人は初心者なので競馬新聞に書かれていることをそのまま受け止めてたりしたけど、それで面白いなと思ったのがこのダート1600mでの戦績評価
後半のレースになるつれて経験の多い上位の馬の戦いになるので、実際の戦績や持ちタイムといった判断材料が増えてくる
そこで特にレースと同じ距離で好走した実績があるほうが有力視しやすいわけだけど、この基準が盲点になるところは「そもそもその条件で走った経験がない馬は除外されている」ということ
その観点で見ると、1番バトゥーキは1200mと1400mの経験しか無く今回1600mが初挑戦であるためか不当に評価が低いように感じられた

そこで血統表を確認すると母方はミスプロ系だけど父方はA.P. Indy直系なので、距離延長は問題ないというかむしろ距離伸びて1800あたりのほうが良さそうに感じられる
つまり
1600mの実績的に評価対象から外されている
距離延長で不安視されている
という要因が人気薄の状況を作り出し、自分はそれについて問題ないと確信できる。こういう状況が最も美味しい
バトゥーキは単勝17倍で自分の理想の穴馬基準の単勝10倍からするとオッズ的には確実性が低いけど、このレースは全体的に人気が割れていたので正しくオッズ評価出来ていない感が強い

そして迎えた第10レース最終コーナー
白い帽子のバトゥーキは後ろから2頭目

直線に入り残り400m
まだ後方2番手で前が開かない。ここからはさすがに難しいか?と思える状況

大外に持ち出してムチを入れる

残り200m。勢いを増して集団に食らいつく

鞍上の水口騎手が懸命に追いまくる
思わず、差せ!差せ!差せ!と声が上がる

ゴール

1着にはわずかに届かず2着。惜しい
でもめっちゃいい競馬だった

8Rのアニトラ同様に人気薄の複勝で3.6倍という配当
単複買いなので1着まで差し切っていれば17倍の高配当もあり得たけど、まあこれでも十分に良い。単複は買う点数が少ないので十分な回収率になる
メインレース 第11R フローラS G2

オークスに通ずる牝馬のトライアルレース、フローラS。芝2000m
https://race.netkeiba.com/race/shutuba.html?race_id=202505020211
1番人気ヴァルキリーバースはルメールなので何も考えずにルメール買っときゃいい、という話ではあるけれど血統表を確認してみるとどうも決め手に欠けるように感じる

東京芝2000mというのも自分は好きな距離で、天皇賞・秋と同じコース。これを勝つ馬はスピード型の中距離馬で強い
そういう観点で見るとヴァルキリーバースの血統は若干だけど重そうに感じる。もちろん2000も十分こなせるし実際2000mを2連勝して臨んでいるわけだけど、最適なのは2400くらいになりそうな構成に感じられる

そこで全馬の血統を見渡してみると、さきほど芝1400mでワンツーを決めたMr. Prospecter系ロードカナロアの系統であるエストゥペンダにスピードを感じる
というか、自分はミスプロが好きすぎてそのスピードに信頼を寄せすぎてしまう
前回は芝1400という短距離で推したけど、ミスプロなら芝2000でもいいし母系にはそれを支える重厚さを感じる
オッズ的には4番人気で7.8倍。またも自分が好きなやや穴馬の位置づけだ
1番人気のヴァルキリーバースは2連勝だけどその内容は未勝利戦と条件戦。対してエストゥペンダは2連続で3着だけどG3競走になる
こういうとき戦績の見た目としては1が並んでいるのと3が並んでいるのでは1のほうが良さそうというイメージになりやすい。つまりヴァルキリーバースの人気は実力以上に評価されているように感じられる
そうしたことを総合して考えると、ここはルメールと言えども外したほうが面白いだろうという判断に至った
不安点としては東京芝2000mなので、大外のエストゥペンダはポジションが取りづらく不利ということ

そうしてレースが開始し、中団につけたエストゥペンダは向正面でぐんぐんと上がり始める。そのまま止まらずとうとう先頭に立つ
えっ?これまで追い込む戦法だったのに真逆の逃げ戦法。いいのか?いいのか?それで?
1000m通過は59.9。やや速そうなペース

先頭のまま最内でコーナーを回り、直線残り200で突き放しにかかる

しかしさすがに差し勢の脚色が良く、1頭、2頭、とかわされなんとか3着に粘ってくれ…! と思ったものの4着でフィニッシュ
4着なので複勝には届かず。外してしまった

これはさすがに不可解な騎乗だな~~と思って後で調べたら、スタート後に大きく外によれた馬の影響で大外2頭の接触が起こり、驚いて2頭とも暴走してしまったらしい
これは運が無かったという感じだけどそれでも4着に粘ったというのは強さを感じさせるし、やっぱり東京芝2000の大外って不利すぎるだろ!って思った
1日終えて
いろいろ友人に解説しつつ、うまく行ったりいかなかったりもしたけど、血統とコース適性の読みがこれだけブランクあってもまだ通じるというのが嬉しかった
自分的にはいろいろ理屈をつけて要因を読み解いて見込み通りの展開になったように認識してるけど、これは勝手な思い込みに過ぎず全然たまたまかもしれない。という危惧は抱いている
レースは30分間隔で行われるので、パドックで下見する→予想する→馬券買う→レース見る→振り返り→下見する…の高速PDCAサイクルを毎レース繰り返すと本当に忙しない。時間に追われまくって疲れる
対策としては観るレースを絞ればいいんだけど今回は全部観た

午後はもうパドックに見に行く余裕もなくなり、ずっと芝生で観戦してた
それでも毎レース血統確認していろいろな情報からファクターを引き出して短時間で検討を繰り返すのはものすごく頭を使うので疲れ果てた
本当は前日に家で調査をしておいて当日は当日ならではのファクター(馬体や騎手の調子など)を加味するのがいいんだけど、なんの準備もしてなかったから大変だった

競馬はその結果についてあーだこーだとさまざまに「たられば」の話がしやすい
それももちろん面白いけど、でもやっぱり尊いなと思うのは金額の多寡に関わらず馬券を買って自分の意志を決定させる行為だと思う
有言実行、とはちょっと違うけど、口ではあれこれ言ったとしても最終的な評価は馬券によってしか確定しない。そうした「思っていること」と「やったこと」を結びつける行為はふだんの生活ではわりと曖昧になりがちなんじゃないだろうか
思っていても、やらなかった。やったけど、無かったことにした。そういう自分に都合の良いキャンセル行為はいくらでもできる。しかし馬券はそうはならない
自分なりにさまざまに考え抜いて確信を見出したときにその意志を馬券という形に変換して確定する。外れれば言い訳なんてできなくて、自分が間違っていたと認めた上で次に進まないといけない
そんな後戻りのできない選択判断とその評価・反省がすぐさま行われるというのはなかなか日常的には無い感じがする

疲れたけど面白かったなーと満足して帰宅したらリバティアイランドの訃報が流れていた。近年競馬を見てないけど冒頭に挙げた悲劇の馬たちに重ね合わせて絶句するほどのショックを受けた