見終わって、うまくことばにできない映画。
10代の恋の衝動、その鮮烈さが胸にぐわわっと覆いかぶさって何度も溺れそうになった。そばにいると傷つけ合う。だけど一緒にいないと息ができない。そんな絡みつく恋愛の形に心かき乱される映画だった。
コウが川の中で転んだ夏芽の髪を引っ張るシーンや、祭りで手をつないで足がもつれるほど振り回すシーンなど、その行動の傍若無人さにびっくりする。そして、そんなスーパー自分勝手なコウへの、夏芽の陶酔っぷりも印象的。
夏芽はコウのことを自分の「神さん」だと特別視している。モデルとして写真集を撮るのも、映画に出るのも、自分の選択の背景には常にコウの存在があった。特別なコウと並びたい、勝ちたい。この人の視界に映っていたい。
そういう、だれかが自分のすべてで、なにを選ぶにもその人を基準にするような、とても純粋で依存的な気持ち。覚えあるなぁ。
物語の中盤では、お互いを特別だと信じて一緒にいられたコウと夏芽がある事件をきっかけに距離が空く。そうしてコウを基準にするのではない、夏芽自身の選択で人生の舵を切るようになっていく。
刹那的で鮮烈な、恋のエネルギー爆発系映画でした。