18で免許を取ってから24で上京するまでのおよそ7年間、わたしの生活には車があり続けた。あの店、この店、あの会社。あのアパート。転職、引っ越しは何度かしたけど、車だけは変わらず生活の道具としてそばにあった。
愛用していたのは2007年式の茶色いアルトラパン。
スエード調の座席に乗って車のキーを回しエンジンをかける。アイドリング状態だとエンジンが跳ねちゃって居心地が悪いから、いそいそと車を走らせた。助手席にはアルバムをどさっと積んで、赤信号を狙ってCDをカーステレオに入れてたなぁ。
上京して、車を手放してからしばらく何の意識もしていなかった。だけど年始に実家に戻り、久しぶりに親の運転する車に乗ったとき、思いの外ほっとした自分に驚いた。言いようのない安心感に胸がいっぱいになった。
鼻につく車のシートのにおいが、前を走る車の停止ランプが、国道を流れる風景がそのまま郷愁になって心のまるく空いた部分をぐぐっと埋めてくれた気がした。
運転することや、友達、家族と車で過ごす時間は、案外何物にも代えがたい大事な時間だったのだなぁ。日常からなくなってはじめて知ったよ。
なんかジュディマリのラッキープールでも流しながら国道飛ばしたい気分。そんなやわらかい郷愁に浸る深夜2:00の記録。