監督はヴィム・ヴェンダース、主演は役所広司。2023年に日本・ドイツ合作で制作された映画(Wikipediaより引用)
上の画像は公式サイトより引用
上京して、当たり前じゃなかった日常が自分の人生にぐわっと入ってきた。
満員の通勤電車、声の大きい広告、警備員のいるビルへの出社、きらびやかなお店の数々。モバイルSuicaで買ったコーヒーを持ってオフィスに出社すること、その紙コップを持っている自分を何となく自分じゃなく感じる。その行為の都会っぽさにちょっと心がかゆくなるのだ。
だからわたしは、映画『PERFECT DAYS』の平山の生活の純度にあこがれる。
落ち葉を掃く竹箒の音で目が覚めて、植物に水をやる。
外に出て、缶コーヒーを買い、軽バンに乗り込む。いつもの角を曲がると見えるスカイツリーを目印に、BGMのカセットを入れる。高速を走りビル群を抜けながら明ける朝は1日として同じ表情はない。
わたしにはそんな毎日がとてもまばゆく見えた。
「変わり映えのしない生活」を揶揄し、華やかで煌びやかな生活を憧れの対象として持たされることがよくある。トイレ清掃員として働く平山の生活は、誰かが見たらなにも持っていないように見えるかもしれない。
だけど、ひとが生きる最小限の営みを繰り返す彼の生活はたしかに美しかった。
「東京」という街の煌びやかさに現在進行形でくらくらしているわたしには、刺さり過ぎるくらい刺さった。いい映画を観れました。
あとTOKYO SOCIAL TOILETはやっぱりきれいだね。名建築万歳。