ショートカットにしたので、漠然と、新しいリップがほしいと思った。
いい女は全員赤リップを付けているという強烈に偏った価値観のもと、新しい赤リップ探しにデパート(髙島屋)へと向かった。
結果、迷子。全然わからない。
フロアにひしめくブランドのカウンター、そこに赤だけで十何色と並ぶリップたち。わからないってば。そりゃYoutubeのスウォッチ動画が必要なわけだ。
色とりどりのコスメに圧倒され、ちょっと疲れていた。声をかけられたカウンターで大した意思のないまま人気No.1カラーのタッチアップをお願いした。
つけてもらったのは赤オレンジのマットリップ。
鏡に映る自分はなんだか新鮮に見える気がして、その場の勢いで買った。
手に持ったブランドの紙袋に高揚感はあったものの、コスメカウンターを離れ少し冷静になると、なんか違うかも?これでよかったのか?ともやもやした感情が渦を巻く。
思えば、自分の意志でコスメを買うなんてここ数年やってきていない。
ほとんどが使い続けているものの買い直しで、たまにバズっているからとか友だちのをいいなと思ったからとかで買う程度。
自分がどうしてもほしいと思えるような、こうなりたい!これかわいい、つけたい!という欲が生まれてこなかったのだな。そう思うとちょっとおそろしい。
ショートカットに似合うメイクがしたい、と欲は出たけれど、解像度があまりにも低い結果、今の私にはうまく使いこなせない、高発色のリップだけが手元に残った。
この胸に溜まった、なんか違うと思った理由は何なのだろう。
ぐるぐる考えた。そして思った。そもそもなりたいのはいい女じゃない。
いい女感、は凛とした色気ってイメージ。だけどそうじゃなくて、たとえば「おだやかで知的な感じ、とか、文化的で洒落っ気のある感じ、とか、そういうイメージを纏いたい。
そしてそのために必要なのは濃い色の赤リップじゃない。「ローズピンク〜ピンクベージュ系」とか「オレンジ〜オレンジブラウン、ブラウンベージュ」とか、その辺りな気がする。
自分のこうなりたい!という欲が発露したら、まず具体的に解像度高く想像する。その後に行動すると、やっちまったが少なくなるかも。
という、コスメ探訪の記録でした。
おわり。