楽器の演奏ができる人を尊敬している。
それは、数学の公式を暗記してテスト問題に答える行為に似ている。私には絶対向かない。
音楽を聴くのは好きだけど、演奏したいと思ったことはほぼない。音楽の合奏の授業は恐怖と苦痛の連続だった。指遣いを覚えフレーズを覚えて、間違えないように弾く。それだけで手一杯。
つくづく集団行動が向いていない。
ソロ演奏はもっと怖い。音を外したりしたらどうしよう。その瞬間が来るまで心の中でずっと怯えている。
ジャズの即興アドリブは厳密なコード進行に基づいてる、ときいて、音楽は数学なんだなぁと思った。
共通する公約数を瞬時に弾き出し、数式にしたてる。ジャズアレンジは、そんな行為に似て見える。
高校生の頃、三角関数が理解できなくて、テスト前に教科書に載っていた公式を丸覚えした。
サイタコスモス コスモスサイタ
あれ、どーいう意味だったのかなーーー
今となっては失われた古代大陸の魔法の呪文のようだ。その効能を知らないのに、言葉だけが民間伝承で残っているのである。
ジャズアレンジも魔法のようだ。
でもその魔法は、何も知らなくても、ただただ世界を楽しませてくれる。
音楽は、私が知らない理で世界を彩っている。