買ってもらったのは今から10年以上も前の話だ。今では竹の名を冠するオシャレな一流液タブメーカーが、まだ輪ゴムみたいな名前だった頃。
大雨の中、母親と待ち合わせていた家電量販店に行くのに自転車がスリップして横転――しそうになったところにあったスロープとの間に挟まれ、私の制服の下の太ももには結構グロい内出血ができてしばらく消えなかった。
さてそんな波乱万丈の珍道中を走り切り、濡れ鼠になってまで手に入れたペンタブは、今で言う2番目くらいに小さいサイズだ。しかし、描けるスペースは今の1番小さいサイズと同じかそれ以下である。
それが今の、ミニサイズの無線版と同じくらいの値段である。時の流れとは恐ろしい。
特に大きな問題もなく動いてはいるが、しかしてドライバーを必要とするこの機種は、先だって私が買い替えたCDドライバのないノートPCでは動かないことが判明した。
あのとき、労せずに手に入ったことを羨む気持ちは、まだこのペンタブとの別れを惜しんでいるのだと、Amazonでペンタブを検索しては己に言い聞かせる日々。次の黒い金曜日に期待。