二十歳頃に、十二指腸潰瘍で胃の半分を切除したことは先に書いた。
それから一昨年までの約38年間、特に消化器系の不具合の自覚症状は無かった。
一昨年、2022年7月、退勤中、東京メトロの白金高輪駅に停車する直前に気を失って倒れた。すぐに覚醒したが、周りの乗客が助けてくれて駅のホームの椅子まで手助けをしていただいた。しばらく座っていると駅員さんが来てくれて水のペットボトルを渡してくれ、それを一口飲んで落ち着いてきた。
駅員の部屋に案内され、そこで15分くらい休ませていただき、自宅まで歩いて帰れそうなのでその旨を駅員さんに伝えて退去しようとした。水のお礼を言うと、それは乗客の方が渡してくれたとのことだった。人のやさしさに触れ、感謝を伝えたかったがそれは無理なことであった。
翌日、どす黒い赤ワインの色をした血便が出た。
思い当たるのは、その前の週末、週明けの半年に一度の会議資料を作るのに、土日をほぼ使って自宅で独り作業した。そのストレスがひとつの要因になったと思っている。
クリニックで診察を受け、血液検査、大腸カメラ、CTなどの検査をしたが、貧血以外の症状は見つからなかった。血便がでたのでどこかに傷口があるはずなのに見つからない。胃カメラをその時に見ていれば胃の腫瘍は見つかっていただろう。
血便はすぐに出なくなったので、緊急性は感じていなかった。十二指腸潰瘍での経験上、胃の出血は黒い便になると思っていた。だから赤ワインのような色の便は腸あたりかと勝手に思っていた。
その後、貧血の薬を飲み続け、貧血の症状は良くなってきた。特段の自覚症状はなかった。
それから約8カ月を経過した、2023年3月末に狭心症のような症状が出だした。それも半年の一度の会議の準備に週末を使ったストレスがあったかもしれない。
つづく